東グータ:膨大なニーズと進まない復興

シリア
2018.12.11

ICRC職員が見たシリアの東グータ地区

赤十字国際委員会(ICRC)で働いて、三年になります。その間、シリア国内のいくつかの町を訪ねました。訪問する中で、自分を一番奮い立たせてくれたこと、それは新しい人との出会いと交流です。

先週、壊滅状態にある東グータでまだ生活をしている人たちを訪ねました。東グータの現在の人口は30万人程度。そこで暮らす人たちは皆、厳しい状況の中で日々をやりくりしています。

安全な唯一の飲み水は、ICRCが設置したタンクを通して供給されます。タンクの中身は、他の人道支援団体や私たちが補充します。私が交流した方々は、かつては大工として、配管工として、そして八百屋として働いていました。しかし、今日、彼らが見つけられる仕事といえば、がれきの運搬しかありません。

アリ・ユセフ (Ali Yousef)

戦争の前、アブ・アマルさんは、車で青果を運送していました。賑わっていた東グータは、ダマスカスの市場において、最大の農産物供給元でした。しかし、長年にわたる戦闘によって東グータの農業インフラは行き詰ってしまいました。アブ・アマルさんは働き続けます。変わったのはただ一つ、野菜の代わりにがれきを運びます ©Ali Youssef/ICRC

アブ・カレドさんは、東グータのエルビン地区で文房具店を営んでいました。彼は戦争で全てを失いました。完全に電力供給が遮断された東グータでは、住民にとっては夏は耐え難いものです。3人の子どもたちを食べさせるのに十分なお金を稼ぐ機会を探す中、彼は、夏の期間に食料の保存を手伝う仕事を見つけました。Kカレドさんは毎日、ダマスカスから巨大な氷の塊を運んできては、東グータで売っています ©Ali Youssef/ICRC

配管工の職を失った後、メヒ・エルディーンさんの周囲には、戦争のがれきしか残っていませんでした。がれきを見ているうちに、新しい使命に気が付きました。壊れた建物の内部からがれきを取り除いています。いつの日か、配管工の仕事を再開できることを願いながら ©Ali Youssef/ICRC

戦争が始まる前は家具職人として何年も働いてきたモタズさん。現在は、戦争によって破壊されたものを収集する日々を送っています。多くの人たちが東グータの自宅に帰りたがっていると言います。人々が再度住めるようにと、家屋からがれきを取り除いています。いつの日か、彼は作業場に戻って、同じ家に家具を配達しているかもしれません ©Ali Youssef/ICRC

アブドゥラ君は現在、ザマルカに住んでいます。東グータに住む何千もの子どもたちと同じように、8歳の彼は、今まで学校に通ったことがありません。今年、ようやっと学校に通えるようになり、喜んでいます。お父さんのように肉屋になるという夢を叶えるべく、一生懸命勉強するつもりです ©Ali Youssef/ICRC

がれきと化した自宅の前にたたずむ人々の苦しみや悲しみは、ただただ想像することしかできません ©Ali Youssef/ICRC

数多くの破壊現場を見て、何百人もの話に耳を傾けてきました。差し伸べられる支援なくして、彼らの話を聞くことは堪えられなかったです。何もなかったところに、私たちのチームが希望を与えることができた時は良かったと感じます。ですが、苦境に立たされている人々から前に進むことを学ぶことは、むしろ励まされます ©Ola Alojaili/ICRC