エチオピア:避難を強いられた人々の回復力を高める

エチオピア
2018.07.09

西ハララジェ(West Hararaghe)地帯に位置するグディス(Gudis)村で、ICRCとエチオピア赤十字社が提供した種や農具を受け取るモハメドさん ©T. Alemayehu/ICRC

 

「持っていたもの全てを失いました。手元には何も残りませんでした」と、エチオピア東部のダロレブ(Darolebu)地区に位置するグディス村に住むモハメド・アリさんは振り返ります。彼は、2017年12月に西ハララジェ地帯のダロレブ地区とハウィグディナ(Hawigudina)地区に隣同士で住んでいるオロモ人とソマリ人の間で起こった民族紛争によって、避難しなければならなくなったうちの一人です。この紛争により、8,400組以上もの家族が避難を強いられました。

 

「わたしは、3人の妻と20人の子ども、あわせて23人を養わなくてはなりません」と、彼は言います。「暴力発生後、どうしたら皆が食事を口にすることができるか、どうしたら経済的に自立できるかと、案じました。食料がなくて命を落としてしまうことがありませんように、と毎日祈っていました。そこに、私たちが一番求めているものを赤十字が提供してくれた時、祈りは通じました。それは種と農具です。心の底から安心しました」

 

暴力が起こってすぐ、赤十字国際委員会(ICRC)とエチオピア赤十字社(ERCS)はプラスチック製のシェルター、安眠マット、毛布、水入れ容器、石けん、台所用品といった日用品を、2つの地域に住む8,433もの避難世帯に提供しました。また、ERCSと協力し、2018年6月6日から14日にかけて、現在の雨季に合わせて種や農具も配付しました。

 

一世帯それぞれが、インゲン豆の種25kgとモロコシの種5kgに加えて鋤(すき)やクワを受け取りました。ERCS支部が率いる減災担当部署のケテマ・ハブタムによると、支援は、被害を受けたコミュニティーの推計50,000世帯の家族に役立てられています。

 

ICRCエチオピア代表部の首席代表 ジェームス・レイノルズは、種や農具の配付は、避難民に生活に不可欠な生産手段を提供することで、人々の生活再建を手助けすることを目的にしていると言います。

 

西ハラルジェ地帯のダロレブ地区で、避難しなくてはならなくなった人々に種や農具を配付 ©T. Alemayehu/ICRC

 

支援を受けている1人のデジー・ケディールさんは、12人の子どもたちを育てるシングルマザーです。19歳の弟を暴力で亡くしました。「真夜中の銃撃戦の最中、私たちは着のみ着のままで逃げました。幸い、生き残ることはできました。暴力が止んでから村に戻りましたが、家も、2ヘクタールに及ぶ農地にあった未収穫の作物も全焼していました。子どもたちも私も苦境に立たされてしまいました。そこに神様のお恵みがありました。生活必需品や台所用品を、そして種や農具を提供してもらったことで、暗い未来に光が見えました」

 

東エチオピアのダロレブ地区で、種や農具を受け取りに行くデジーさん(正面右) ©T. Alemayehu/ICRC

 

「撒く種がなかったので、今季は休耕になると心配していました。幸いなことに、種や農具が配付されたおかげで、豆やモロコシを育てることができます」と話すのは、支援を受けている、7人の子どもをもつザラシュ・モハメドさん(50)。「特に早く成長するモロコシの種から、近いうちにそれなりに収穫を得られるのではないかと見込んでいます。自分で子どもたちを養うことができそうです」

西ハラルジェ地帯のミルカエ(Milkaye)村で、種や農具を受け取ったザラシュさん ©T. Alemayehu/ICRC

 

予定通り雨季がくれば、支援を受けた人たちは、平均で1ヘクタールあたり1000kg~1500kgを収穫できると見込んでいます。

 

地域間の境界付近で起きた民族グループ間の緊張状態は、水へのアクセスに加えて牧草地や農作物をめぐっても高まっています。暴力によって何百もの人々が命を落とし、何千もの人々が避難したままです。

 

ICRCはERCSと協力し、経済の自立支援プログラムにおいて、コミュニティー間の衝突による影響を受けた人々に、緊急支援や生活支援を行っています。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。