ミャンマー:自由の身となった人たちを家族のもとへ
愛する人と離ればなれに暮らす毎日は拘束された人々にとって耐えがたく、いつかは家族に会えるという希望が、困難な状況を乗り越えるための糧となっています。しかし現実は、高額な交通費や不安定な地域情勢を理由に、解放されても故郷に帰ることが難しい人たちが多くいます。
ミャンマーの赤十字国際委員会(ICRC)は、拘束を解かれた人々の尊厳が保たれ、安全に故郷へ帰れるよう、支援事業を展開しています。解放後に面会し、必要な情報を提供したり、交通費を支給したりします。食費や宿泊費の一部も賄います。
2023年上半期、私たちは、拘束を解かれた1,487人の家族再会を支援しました。小さな支援かもしれませんが、再び社会の一員として歩みだすための重要な一歩となります。
マレーシアで拘束されていた私たちは、解放後ミャンマーへと送り返されました。南部ヤンゴンで7日間隔離された後、バスやバイク、ボートを使ってそれぞれが故郷の村に帰っていきました
ICRCの支援を受けたウー・テインさん
新しい章の始まり
愛する人と再会の抱擁を交わすことで、人生の新たな章へと突入します。「いろいろな意味で、これが新たなスタートとなります」と語るコ・ミンさんは、西部ラカイン州の故郷に戻るのを楽しみにしています。
故郷では、家を建て直したり、地元を支援していきたい、とコ・ミンさんは考えています。地元の村は、2023年5月初旬にミャンマーを襲ったサイクロン「モカ」によって甚大な影響を受けました。「私のコミュニティーには、農家や日雇い労働者、漁師がいます。サイクロンは、私たちの生計手段を全て奪いました。そんな困難な状況でも、家族が無事でいてくれたことに感謝しかありません」。
収容施設への訪問は中断されたままですが、ICRCは、被拘束者や家族に対して支援を行っています。身内が拘束されたかもしれないと考えている家族に対しては、その消息を突き止める手助けをします。また、施設にいる大切な身内に会いに行くための移動手段を調達したり、小包を届けたりするのも私たちの重要な活動です。
※個人情報保護の為、名前はすべて仮名です。