ICRCクアラルンプール地域代表部、キャンベラ事務所でのインターンシップを終えて
ICRC駐日事務所では、関西学院大学との協定を結び、2014年からICRCの海外拠点でのインターンシップを実施しています。2017年11月から2018年3月まで、マレーシアとオーストラリアでインターン生として活動してきた同大学総合政策学部国際政策学科の巽音(たつみ・おとね)さんに話を聞きました。
インターンに応募したきっかけを教えてください。
入学した時から、大学の「国際ボランティア」プログラムの一環である国連ユースボランティアに関心がありました。なので、国際ボランティアに関連する講義を受講したり、実際に派遣された先輩方からアドバイスをもらったり、選考試験に備えていました。実際に応募すると、面接を担当された先生方から、私の興味や関心の方向性からICRCへのインターンを勧められたのです。最初はICRCについて知らなかったこともあり迷いがありましたが、ICRCについて調べていくうちに興味のある国際紛争や人道支援に関わる業務に携われることを知り、応募先をICRCに変更しました。
出発前に不安に思ったことや期待は何ですか。
ICRCについての知識がなく、派遣先での活動や業務を想像できないことが一番の不安でした。日本赤十字社とICRCの違いもあまり理解できておらず、国際法、ましてや国際人道法(IHL)についても勉強してこなかったので、現地での業務についていけるかが一番の不要要素でした。一方で、さまざまな背景を持つ人材が集まる国際機関で働くことが長年の夢だったので、ワクワク感もありました。
この経験で得たことは何ですか?
組織を代表して立場が異なる組織の人と交渉や話し合いをすることの多い上司から、関係構築の際には相手の個性や姿勢、雰囲気、言葉遣いも含めたパーソナリティを把握することの重要性を学びました。また個人的に最も興味と憧れを持った政策担当官との仕事では、政策担当官に必要な分析力や洞察力といったスキルの身につけ方を学びました。その他、クアラルンプール、キャンベラの両オフィスで出会った方々との繋がりもこのインターンシップを通じて得た大事な収穫の一つです。
インターン先での大まかな一日の流れについて教えてください。
事務所によって、また、その時々に任されていた業務によって多少異なりますが、基本的には8時半に出勤し、午前中はメールやICRC関連のニュースをチェック。そして担当業務を行います。午後は調べ物や書き物など、手を動かす作業を中心に行っていました。その日の業務で分からなかったことなどは、帰宅後に調べるようにしていました。
やりがいを感じたことはどんなところですか?
当然ながら業務に関連する知識や経験が乏しく、無力感から自分の存在価値について悩むことが多かったので、小さなことでも他人に感謝された時や、自分のやっていることが上司の役に立っていると実感できた時は、喜びを感じました。特に印象に残っているのは、マレーシアで行われたIHLのロールプレイ・コンペティションと模擬裁判の運営を手伝った時のこと。開催校となった大学の学生ボランティアと協力して円滑な進行ができ、職員からだけでなく参加者や学生ボランティアの方々からも感謝された時は本当に嬉しかったです。
また、オーストラリアでは政策担当官のもとで同国にある大手シンクタンクのブログにシリーズで記事を寄稿するプロジェクトを企画から担当。自分が執筆した記事が掲載された時の達成感はひとしおでした。
今後、インターンの経験をどう生かしていきたいですか?
ICRCは、国際人道支援機関の中でも影響力の大きい組織だと思います。紛争や暴力によって影響を受けた人々に対して日々支援を行っているだけでなく、ICRCは国際社会の意思決定の場でも国際人道法の観点から意見を述べる組織です。そんな組織での経験を生かし、将来は国際協力、特に人道支援分野において、最前線での支援と国際会議での交渉、どちらにも対応できるようになりたいと思っています。半年間のインターンシップの中で、大学などでのイベント運営補助から国際会議の見学まで、幅広い経験をさせて頂いたからです。職業を選択する時は、ICRC職員の方のように、自分の信じる信念や理念と矛盾のない機関で、異なる立場の人たちと共同の目標を実現させる仕事に就きたいです。