イスラエル・ガザ:苦痛と喪失の一年、緊急の行動が必要
2023年10月7日の攻撃から一年。戦闘は激化・拡大する一方で、その影響を受ける人びとは国境を越えています。耐え難い苦しみや喪失感に満ちたこの一年間、地域の住民は、広範囲に及ぶ荒廃と、人間性を奪う行為を目の当たりにしてきました。
人間の苦しみや悲しみに国境は関係ありません。この一年、私たちは心を痛め、一向に答えの出ない疑問を抱え続けてきました。家族は引き裂かれ、多くの大切な身内が本人たちの意思に反して今も拘束されたままです。戦闘はイスラエルとガザを超え、周辺地域も巻き込んで、何万もの人びとの命を奪い、数百万人の住む場所を奪っています。民間人は単なる数字に置き換えられ、紛争にまつわるさまざまな主張に埋もれてしまっています。一個人として、唯一無二の存在であるにもかかわらずです。今この時も、命を繋ぐために日々奮闘し、悲しみや恐怖、将来への不安と日々向き合っている子どもや親たち、兄弟姉妹や友人といった生身の人間が、数字の影に隠れてしまっています。
赤十字国際委員会(ICRC)は、紛争の影響を受けたすべての人びとの尊厳を尊重するよう、全当事者に改めて呼びかけます。正当な権利を有している個人として、保護と人道的な援助を享受しながら、安全かつ安心して生活を再建する能力が発揮できるようにしなければなりません。私たちは、命を救うという確固たる決意の下、助けを求める人びとのもとへ障害なく安全にたどり着けるよう、引き続き断固としてアクセスの保障を全当事者に要求します。
また同時に、戦時のルールである国際人道法に基づく責任を直ちに果たすよう、繰り返し訴えます。国際人道法は、紛争の被害や苦しみを軽減するための枠組みを提供し、戦時であっても人間の基本的原則が守られることを保証します。紛争当事者は国際人道法を遵守することで、人びとの苦痛を和らげ、より安定した平和な未来への道筋を築くことができるのです。