モザンビーク:緊急支援を必要としながらも故郷へ戻る住民たち

モザンビーク
2023.10.25
ICRCの車を背に微笑む支援物資を受け取った女性

©ICRC

モザンビークの北部に位置するカボ・デルガード州での武力紛争によって、住民の避難、インフラの破壊、ひいては生活基盤の喪失など、民間人・民間インフラが被害を受けています。

いまだ、約83万4,000人が国内避難民としての生活を余儀なくされる一方、紛争の影響により約100万人が極めて弱い立場に置かれています。既に42万人は州内にあるもともと住んでいた地域に帰還しましたが、その多くが国内避難民と同様、居住施設、水、食料などの緊急支援を必要としています。

2023年5月、赤十字国際委員会(ICRC)は新しい事務所をカボ・デルガード州の北部に位置するムエダに開設し、同州内で発生した武力紛争により影響の受けた人々に必要な支援を届けました。また、カボ・デルガード州内の武力勢力とも継続的な対話もおこなっています。

ICRCは、2023年の上半期、モザンビーク赤十字社(CVM)と協力し、カボ・デルガード州全体で国内避難民と帰還住民に対して、生活状況を向上させるための緊急支援と生活支援を実施しました。

ICRCのスタッフが住民に生活必需品を配布する様子

生活必需品を配付する様子 ©Fidelto Bata/ICRC

2023年1月から6月までにおこなわれた支援

緊急支援

  • モンテプエのマルクネ国内避難民キャンプ内に暮らす、特に弱い立場に置かれている国内避難民2,615人(523世帯)に基本的なニーズを満たすため、無条件の現金給付を実施。
  • モンテプエのナイル―トに住み、紛争によって影響の受けた2,575人(515世帯)とペンバのマリンガーナで洪水の影響を受けた100人(20世帯)に生活必需品を提供。
  • 町の責任者およびCVMと協力し、モシンボアダプライアの計17,500人(3,500世帯)の帰還住民に生活状況を向上させるため、生活必需品を配付。
  • さまざまな緊急支援活動において、CVMボランティアとスタッフ43人の能力開発を支援。

保健医療へのアクセス向上

  • ペンバの保健医療施設1カ所を改修し、イボにある保健医療施設は、病院にアップグレードをおこなうための第二段階が完了(2023年末までには開院予定)。
  • カボ・デルガード州内の4地区(ペンバ、ムテゲ、モンテプエ、イボ)にある11の主要な保健施設と1つの移動式クリニック、13の地域保健委員会への定期的な支援を継続。
  • ICRCが支援している主要な保健医療施設では、384,257件の診察がおこなわれた。
  • コレラへの対応を支援するため、コレラ予防法について242人を対象にトレーニングをおこない、480個のバケツと680個の石鹸を寄付。
  • ペンバとモンテプエで参加者80人に対して、計4回の応急手当トレーニングを実施。

水と衛生へのアクセスの向上

  • 水委員会に所属する113人(うち委員会メンバー84人、地元リーダー28人、同地区の水とインフラ関連の技術者1人)を対象にトレーニングを実施。
  • モンテプエで7つの新しい水委員会を対象にトレーニングを実施し、9つの国内避難民再定住地区にある10の掘削した穴を管理するため、ボランティア15人を養成。

武力紛争やその他暴力によって離ればなれとなった家族を支える

  • 未成年者2人と弱い立場に置かれている成人3人の家族との再会に寄与。
  • イボでCVMボランティア11人に対して、家族の再会支援事業の一環として再教育セッションの実施。また、モンテプエでは、ボランティア6人に再教育セッションとトレーニングを実施。
  • ムエダとモシンボアでは、CVM ボランティア2人に離散した家族の再会支援に関する事業についての追加指導を実施。

自由を奪われた人びとの訪問

  • 4つの州(南部マプト、北部カボ・デルガード、北部ナンプラ、西部マニカ)にある7つの収容施設を訪問し、施設管理者による収容施設の状況や被拘束者の処遇改善を目的に地元当局を支援。
  • 解放された被拘束者に26の衛生用品を寄付し、16人分の交通費を負担。
  • カボ・デルガード州のミエゼ刑務所内にある農場用にさまざまな野菜の種、肥料、農業器具を提供をおこない、5,000キロの野菜が生産され、被拘束者の食事を多様化。
  • ペンバにあるミエゼ刑務所の下水と給水システムを修復。

"プロジェクターを使用しながら国際人道法の遵守を促進する

  • モザンビーク当局に対して、人権および国際人道法の省庁間委員会の運営方法や法務省内の国際人道法の部署設立など、国際人道法に関する法的アドバイスを実施。
  • 100人超の判事と法律に従事する人が国際人道法トレーニングを修了し卒業。
  • 高等教育機関と連携し、学部課程に国際人道法を必須科目に加えた。

軍および治安部隊との関わり

  • 3つ地域の現地部隊705人、在モザンビーク南部アフリカ開発共同体部隊(SAMIM)43人、モザンビーク軍(FADM) 620人に国際人道法に関するトレーニングを実施。
  • 欧州連合トレーニングミッションとICRC間の技術協定に基づき、2つの基地でモザンビーク軍298人を対象に国際人道法に関するトレーニングを実施。
  • 州長および全国犯罪捜査局長(SERNIC)に対して、2日間の国際人道法に関するハイレベルワークショップを開催。
現地赤十字社と一緒に配布をおこなうICRCスタッフ

現地赤十字社と一緒に配付をおこなう ©ICRC

モザンビーク赤十字社(CVM)との連携

  • CVMボランティア25人と理事5人に対して、活動案内・安全性に関するトレーニングが開催できるよう支援。
  • 保健や救援、生活支援、水配付、家族との再会支援などの分野でボランティアの能力開発を目的としたトレーニングを定期的に実施。
  • CVMのコミュニケーション分野での支援を実施。CVMと共同でコミュニティーを対象とそた普及活動の実施やボランティアへのトレーニングを実施。