ミャンマー:行方不明者とその家族を繋ぐICRCの支援

ミャンマー
2023.11.16

ミャンマー西部ラカイン州シットウェ市ダ・パイン村に住むコさん(仮名)は2017年、友達5人と一緒にベンガル湾に漁に行きました。しかし、コさんを含む6人が帰って来ることはなく、そのまま行方不明となってしまいました。行方不明になったことで、残された家族は、愛する人に何が起こったのか分からないまま、不安と恐怖を感じながら生活していました。

「息子は忽然と姿を消してしまいました。私は息子の帰りをずっと待っていました」と語るのは、母親のダウ・ア(仮名)さん。6年経過した今も、息子と会うことは叶っていませんが、母親であるダウ・アさんが受け取った息子からの便りは、ダウ・アさんに希望を与えました。

ダウ・アさんによると、コさんを含む6人が行方不明となってから7カ月が経過したとき、男性たちがバングラデッシュ当局に拘束されたニュースをフェイスブック上で見た人がいたと言います。「私たちは、バングラデッシュに住む友達や親戚に、息子たちの居場所を調べてくれないかとお願いをしました」と語るダウ・アさん。しかし、誰も助けてはくれず、息子のことが心配で食事や睡眠が取れなかったと言います。

2019年、赤十字国際委員会(ICRC)が息子からの短いながらも手書きで綴られた赤十字通信を持って、ダウ・アさんを訪問したとき、彼女の希望は再びよみがえりました。

私はとても安心し、幸せでした。これまで息子の為に祈り続けてきました。息子から連絡が来て、いつか会える日も来るんじゃないかと信じ続けています。

ダウ・アさん

ICRCの支援を受けて、ダウ・アさんも赤十字通信と家族写真を息子であるコさんに送りました。2022年末には、息子から2通目の手紙を受け取り、ダウ・アさんはICRCを通して返事を送りました。

椅子に座り息子から届いた手紙を読む母親

コさんから届いた赤十字通信を読む母親のダウ・アさん ©Oo Than TIN/ICRC

ICRCのスタッフがダウ・アさんに家族の再会支援事業について説明する様子

ICRCスタッフがダウ・アさんに家族の再会支援事業について説明する様子 ©Oo Than TIN/ICRC

行方不明者の捜索と家族との連絡のための活動について説明するICRCスタッフ

行方不明者の捜索と家族との連絡のための活動について説明するICRCスタッフ ©Oo Than TIN/ICRC

愛する人が失踪した心の痛みは、いくら時間が経過しても弱まることはなく、愛する人の帰りを待つ間、残された家族は常に不安に苛まれます。愛する人との連絡、そして再会を支援する私たちの取り組みは、ダウ・アさんのような愛する家族を待つ人々の痛みを和らげ、いつか再会できるという希望を与えることができるのです。

※個人情報保護の為、名前は仮名を使用しています。