ミャンマー:地震と武力紛争にゆれる日常生活の再建

アジア・大洋州
2025.07.16
Myanmar; 3 months after the earthquake

ⓒICRC

ジュネーブ/ヤンゴン(ICRC)―ミャンマー中部を襲った壊滅的な地震から3カ月。何十万人ものミャンマーの人びとがいまだ生活の再建に悪戦苦闘し、日々の生活必需品に事欠いています。被災地では3,700人以上が死亡、5,000人以上が負傷し、50人あまりの人びとが行方不明のままです。

アジア大洋州地域で、ミャンマーはもっとも人道援助を必要とする国のひとつとして数えられています。数十年にわたる国内紛争の余波で、数百万人の人びとが震災前に故郷を追われました。

被災後マンダレーに逃れた数百万人の被災者のうち、ある被災者は「私たち家族5人は避難を余儀なくされ、森で伐採したさまざまな木を使ってテントを建てました。これまで武力紛争や洪水などのたくさんの困難に直面してきましたが、今回は地震で被災しました」といいます。

過去3カ月間、赤十字国際委員会(ICRC)はミャンマー赤十字社(MRCS)と他の地域パートナーとともに、マンダレーやサガイン、バゴー、シャン州の最も被害が大きかった地域の緊急ニーズに応えるため、日夜活動に従事してきました。

震災後、11万人以上の人びとが、安全な飲み水、食料、防水シート、太陽光ランプ、生活必需品、緊急用の現金支給、病院や移動式診療所をとおした緊急医療支援を含むICRCの支援を受けました。このうち、マンダレー、サガイン、シャン州の被災者49,000人は、安全な飲み水、衛生施設の恩恵を受けており、安全な生活環境の再建と健康リスクの予防に一役を担っています。ICRCは被災者が自力で生計を立てるため、職業訓練、農業・畜産資材の提供、小規模事業への継続的な支援も続けています。並行して、災害・紛争地域で不発弾のある暮らしを余儀なくされている人びとへの安全啓発の集会も実施しています。

支援を受けた被災者の一人は「ICRCの現金給付で壊れたテントを修繕します。よりプライバシーが確保された、住み心地のよい避難生活になるように」と加えました。

ICRCは、MRCSや市民社会団体と協力して、マンダレー、サガイン、シャン州の病院と地域医療センターを支援し、医療器具の提供や生活インフラ、水道網の修復を実施しています。

現在、一機関が対応できる範囲を超えたニーズが押し寄せています。2025年3月の地震は、人びとの生活に新たな脆弱性をもたらし、多くの人びとが財産や収入源を失い、市場価格の高騰もあり、食料や医薬品、衛生用品などの日用品の入手が難しくなっています。今後、間近に迫ったモンスーンによる水を介した感染症のリスクの高まりが懸念されています。

ICRCヤンゴン代表部のアルノード・ド・ベック首席代表は「震災後、生活の再建に悪戦苦闘する人をみて悲しみを感じています。今回の地震が、既存の紛争被害者たちの生活をより困難にしたことを心に留め、復興までの道のりをともに歩みたいです。世界の人びとはミャンマーから目を逸らさず、国際社会の支援強化に期待しています」と述べました。

戦闘行為の一時停止が延長されていますが、いくつかの地域では戦闘が続いています。ICRCはすべての紛争当事者が国際人道法を完全に遵守し、すべての被災地へのより広範な人道的アクセスの許可を求めています。

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