パキスタン : 内反足を一人ずつ治療
世界では、1000人に2人の子どもが内反足という先天性疾患を持って生まれてきます。この病気は、身体の動きに大きな影響を及ぼします。パキスタンでは、毎年6000~7000人の内反足の事例が報告されるなど、患者数は低所得国で高くなっています。
シャファトさんと彼の妻のアシファさんは毎週、ムザファラバード郊外のララから、ムザファラバード身体リハビリテーション・センターにある「内反足クリニック」に通っています。息子にギプスを装着してもらうためです。生後14週目のアヤンくんは、内反足という先天性の足の形態異常をもって生まれました。そのため、内向的になり、身体の可動域も限られます。「私たちは、幸せで健康な赤ん坊を夢見ていました。しかし、アヤンが生まれて彼の足の形を見た時、私たちは心が痛みました。彼の生活は、この先、容易ではないだろうと感じたからです」とシャファトさんは言います。彼らが通う「内反足クリニック」は、赤十字国際委員会(ICRC)の支援を受けています。
シャファトさんのような親にとって、奇形のある子どもを見ることは、衝撃的で耐えられないものです。パキスタンでは、毎年、7000件近くの内反足事例が報告されていますが、そのうちの5~10%しか適切な治療を受けていません。
支援を必要とする人たちに人道支援を行うICRCは、同国内に設立されたクリニックで、内反足の乳児が適切なタイミングで治療を受けられるよう活動しています。7月31日、ICRCは、パラプレジック・センター・ペシャーワルと共同でカイバル・パクトゥンクワ州(KP)に『内反足ホーム』を立ち上げました。この施設は、内反足の子ども24人が毎日さまざまな治療を受けられるよう、設備が整えられています。
ムザファラバードやペシャーワル、スワート、バンヌで、ICRCが支援する6つの内反足クリニックで2012年以降、4000人近くの子どもたちが治療を受けています。ペシャワールにあるICRC身体リハビリテーション・プログラムのチームリーダーを務めるアフマド・アブドゥル・カデル・ハサン・アルモサは、次のように述べています。「KPにある内反足ホームのような専門クリニックは、この分野で活動する地元組織の能力強化につながります。また、疾患に対する認知を高め、無料かつ区別なく内反足の患者の治療にあたっています。」
1984年以降、身体リハビリテーション・プログラムの一環として、ICRCは手足を失った人や脊髄損傷のある人、内反足の子どもたちに無料でサービスを提供するため、地元のパートナーと連携してきました。2017年、5万人以上がICRCの支援するセンターでさまざまなリハビリテーション・サービスの恩恵を受けました。
シャファトさんの息子は、現在受けている治療を経て、成長とともに、より質の高い生活を叶えることができる大勢の中の一人です。「ギプスの装着で足の歪みが矯正され、アヤンがいつの日か自分の両足で立つことができるようになることを祈っています」と母親のアシファさんは述べています。
原文は本部サイト(英語)をご覧ください。