エチオピア:アクセスが困難な地域での緊急支援

エチオピア
2023.10.06
エチオピア赤十字社と協力して医療品や手術用の備品を届けるICRCスタッフ

©ICRC

エチオピアでは、戦闘の被害を受けた人々が各地に散らばっていて、救命医療や水、食料、シェルター、民間人保護などの緊急支援が必要になっています。赤十字国際委員会(ICRC)は、アクセスが困難な地域で特に弱い立場に置かれている人々を優先的に支援しています。

北部のアムハラ州では戦闘が続いていて、救急車もまともに走れません。保健医療施設は孤立しがちで、人々が医療を受けられない状況に陥ることもあります。治安が安定していない地域にある病院は、負傷者や重篤な患者の治療に苦労しています。

何もかも足りません。抗生物質や痛み止めのような基本的な薬も底をつきました。ケガをしてる患者さんに、自分たちで民間の薬局に行って薬を買うように指示することしかできないのです。それ以外の患者さんは、治療することすらままなりません。

地元の総合病院に勤める医療スタッフ

ICRCは、特に紛争の影響が大きく、アクセスすることが困難なアムハラ州の保健医療施設に対して、エチオピア赤十字社と協力して救命のための医薬品や手術用の備品を届けました。保健医療施設の対応能力の強化が、現時点における最大の緊急課題です。今年8月には、州内の19の病院に緊急支援物資を届けました。また、保健省とも協力して、外科的処置に欠かせない血液を、バハルダールやゴンダール、ラリベラの血液バンクに複数回届けました。

負傷者や病人は支援を受ける権利があり、治療が施されなければなりません。ICRCは、紛争当事者に対して、保健医療サービスを保護し、尊重し、緊急処置が必要な人がきちんとサービスを受けられるよう便宜を図ることを求めています。

アムハラ地域での戦闘は、主要な水の供給にもダメージを与え、中断させています。

私たちは今日、最近の衝突によって水へのアクセスが断たれたフェスベット、ブルレ、チャラ、ティリリ、インジバラの5つの町で人々が切実に支援を求めている状況を確認しました。デブレマルコスでは既に、地面に開けた穴に水中ポンプを設置することで給水設備の復旧を支援し、地元住民や病院、収容所で暮らす約8,000人がその恩恵にあずかっています。

ICRC水と住まい事業責任者

ゴンダールのアンガーブ浄水場にある2つの制御盤も交換し、7.2トンの塩素と29トンの硫酸アルミニウムを寄付しました。これにより、20万人超が安全な水を2カ月間確保できます。

ICRCは、紛争の影響が残っていてアクセスが困難な地域に住む人へのサポートを国内各地でおこなっています。8月には、南部オロミア州ゲラーナトーレ(西グジ)に住む15,864人の国内避難民に多目的に使える現金を給付。また、エチオピア赤十字社と一緒に、ケレームウーレガでの戦闘を逃れサヨウレダに避難している27,624人に食料を届けました。

治安の不安定なデンビドロ近郊では、身体障がい者が十分にリハビリを受けられない状態が続いています。最近ではICRCの救済措置により、可動能力を回復するためのケアが必要と認定された380人が、私たちの支援する施設でリハビリを受けることができるようになりました。

北部ティグレ州では、妊婦や授乳中の母親、5歳以下の子どもたちの栄養状態が非常に懸念されています。ICRCは、アクセスが困難な地域を中心に、命を救うための栄養補給事業を展開。私たちが支援する同州の保健所では、4月から6,000人超の女性と子どもが栄養失調関連の治療を受けました。

また、ティグレ州は、紛争の負の遺産である不発弾や放置された武器によって汚染されていて、地域住民の命と生活が危険にさらされています。私たちは、特に子どもが影響を受けているティグレ州北西部ヒレットや東部ファチのような遠隔地でアクセスが困難な地域において、危機管理講習や安全な行動を促す事業を展開しています。被害が報告されればICRC職員はそこに出向き、緊急講習会を実施。被害者に対しては、ICRCの支援する医療施設を紹介します。

こうした地域において、私たちはすべての当事者と定期的に対話を行い、国際人道法の尊重を強化するよう訴えています。