サヘル:安全保障上の懸念は5カ国の人道緊急事態を不鮮明に

マリ
2017.11.22

 

アフリカのサヘル地域における不安定な治安情勢は、5カ国の1,200万人に影響する大規模な人道危機に影を落としている、と赤十字国際委員会(ICRC)は話します。

 

武力紛争、国境を越えた犯罪や気象災害は、甚大な人的被害をもたらし、アフリカ大陸内での避難をはじめ、モーリタニア、マリ、ニジェール、ブルキナファソ、チャド5カ国からヨーロッパへの移住が増える引き金となっています。

 

「サヘル地域での関心は安全保障問題ですが、それは同時に、何百万もの家族が飢え、生き延びることに絶望している、というより重要な惨事を不鮮明にしています」と、「アフリカの平和と安全に関するダカール国際フォーラム」でICRCアフリカ地域担当事業副局長のパトリック・ユーセフは発言しました。

 

「もし私たちがこの地域の人道的側面や開発に支援の手を差し伸べなければ、さらなる避難者を生み出すなど、結果は深刻なものになるでしょう。こうしたの場所の多くは、急進的かつ過激な思想を生む強力な温床なのです」とユスフは付け加えました。

 

チャド湖地域やマリ周辺で続く紛争は、国境を越えた武装集団の活動と相まって周辺国のブルキナファソとモーリタニアに深刻な結果をもたらしています。この地域の課題は、気候変動、貧困、食料不足によって悪化の一途をたどっています。地域人口の8000万人のうち4分の3が35歳未満で、雇用機会はすでに乏しいにも関わらず、30年内には人口が2倍になると予想されています。

 

「国家は今すぐに国際社会の支援とともに問題の根本的な原因の解決に取り組み、人々の立ち直る力を強化する支援に乗り出さなくてはいけません」とユスフは言います。「紛争下にで一般市民を傷つけてはならないということと、被拘束者が尊厳をもって扱われることを確実にすることは、紛争を持続的な終結に導く助けとなるのです。」

 

ICRCは、改良された種子、道具、肥料、家畜飼料および家畜ワクチン接種を提供し、5カ国の150万人以上の人々を支援しています。ニーズが差し迫っているにも関わらず、この地域は、私たちの活動現場においても、資金が最も不足している地域の一つです。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。