コンゴ：「誰にも言えなかった」性暴力の現実

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忘れられた紛争になりつつあるコンゴ民主共和国。しかし、再び紛争が人々の生活を蝕み、性暴力が蔓延しています。赤十字社が運営する「聞く家（Listening houses）」は現在、性暴力の被害者に避難所と支援を提供しています。

性暴力の増加と、東部での敵対行為の激化の間には、直接的な相関関係があります。半数以上の女性が何らかの身体的暴力にさらされており、27％以上の女性が武力紛争において性暴力を経験したと報告されています。紛争が引き起こす大規模な避難と資源不足が性暴力を助長している可能性があります。

性暴力は、国際法と国内法で厳しく禁止されています。しかし、年齢や性別を問わず、性暴力の被害が絶えないのが現状です。

身体的・精神的な後遺症に対する支援を必要としているにもかかわらず、性暴力の被害者は社会的拒絶や経済的排除に直面しています。被害を受けた女性の半数以上が、助けを求めることや、家族に打ち明けることを拒否する傾向にあることが報告されています。この割合は、子どもや男性の被害者の間ではさらに高くなります。

※プライバシーの観点から個人のお名前は全て変更されています

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17歳の女性、フランソワーズ

彼女はほかの女性たちと共に薪を集めに森へ向かったところ、武装した男の集団に遭遇しました。走って逃げましたが、転んでしまい、捕えられ、 集団全員にレイプされました。

男たちは無口で、怯えているようにも見えたと言います。その後、彼女はキャンプに戻ったものの、破れた服を隠し、誰にも打ち明けることができませんでした。自分を無力で、怯え、孤独だと感じるなかで、最終的にはキャンプ内の老女たちに打ち明け、「聞く家」を訪ねました。

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57歳の男性、トレゾール。

１月から３月にかけて、北キヴ州では１万2600件以上の性暴力事件が報告され、男性の被害者も確認されています。

トレゾールと友人は薪集めをしている最中に武装した男４人に遭遇し、地面に伏せてズボンを脱ぐように指示されました。「私は女性ではないのに、何をしているのか」と叫ぶトレゾールに対して、男たちは「地面に伏せたらどうなるかわかる」と叫び返したと言います。この時の性暴力により、友人は他界しました。

こんなことが起こるなんて聞いたことがなかった。男性が男性をこんなふうに襲うなんて。

トレゾールはキャンプに戻っても数日間ひどい痛みに襲われ、「聞く家」を訪ねることに決めました。

性暴力の被害に遭ったことが恥ずかしく感じられて、「聞く家」に入ることもできず、長い間外に立っていました。女性だけが入れる場所だと思っていたのです。今でもよく眠れない状態が続いていますが、それでも来てよかったです。

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30歳の女性、ヘンリエッタ。

ヘンリエッタは、2023年 11月に村から逃げました。夫は行方不明。子どもたちを養うために薪を集めて売っています。性暴力被害に遭った日は、避難民キャンプの近くの森で、友人たちとはぐれてしまい、男に地面の穴に押し込まれてレイプされました。

キャンプに戻ってから数日間、外出できなかったヘンリエッタ。湖に身を投げたいとも思ったこともありましたが、子どもたちの面倒を見る人がいないという理由から、命を断つことをやめました。

「聞く家」の存在を知った後も、近隣の住民にどのように思われるのかが恐ろしく、近づくのが怖かったと言います。しかし、「聞く家」を訪れた彼女は、診療所で妊娠していると告げられました。

私は何をしたら良いのか、どのように子供たちを養えば良いのか、夫が帰ってきたら何と言うのか、不安が絶えません。しかし、少なくとも私はひとりではないとわかっています。同じような経験をしている女性は他にもたくさんいると知り、少し慰められました。

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69歳女性、オデット

オデットは夜、懐中電灯を持ってトイレに行ったところ、武装した男２人に引き止められ、携帯電話を渡すように指示されました。携帯電話を持っていないと伝えると、男たちは早く歩かなければ武器の柄で殴ると何度も脅し、彼女を森の奥深くまで引きずっていきました。その後、殴られてレイプされた彼女は意識を失いましたが、翌朝に裸足半裸でなんとかキャンプまで歩いて帰ったと言います。

赤十字国際委員会（ICRC）は、コンゴ民主共和国赤十字社と連携して、ゴマ郊外で運営する「聞く家」を支援しています。性暴力の被害者は、心理社会的支援を受けるほか、最寄りの医療施設に紹介されるか、あるいは、ICRCの医療支援を受けます。

ICRCは、2022年に複数の国で数年にまたがる性暴力防止プログラムを開始し、性暴力を引き起こす態度や慣行、被害者の汚名といった観点に焦点を当てつつ、性暴力の発生リスクを軽減するよう目指してきました。コンゴ民主共和国は、同プログラムが最初に実施される国のうちのひとつに選ばれました。2023年では、ICRCはコンゴ民主共和国において3233名の性暴力の被害者にメンタルヘルスと心理的サポートを提供しました。