アイン・ヘルワのストリートアート制作プロジェクト

レバノン
2019.10.09

赤十字国際委員会 (ICRC) は、アイン・ヘルワの子どもたちに安全なスペースを与えるプロジェクトの一環として、現場のアーティストと難民キャンプの子どもたちが協力して家々の壁に絵を描くイベントを実施しました。

アイン・ヘルワにあるサイーダ難民キャンプでは、ここ何年も暴力が繰り返し発生し、子どもたちが安全に遊んだり、勉強したり、集まったりできる場所が奪われる事態が頻繁に生じます。

このプロジェクトでは、キャンプで楽しむことを追求する屈指の専門家に相談しました。それは、何を隠そう子どもたちです。私たちは子どもたちと膝を突き合わせて、殺風景なキャンプ地の壁をどうしたら良いか、何を描きたいかについてたずね、自分たちのコミュニティのメンバーや他の子どもたちに伝えたいメッセージについても聞きました。

子どもたちは、自分たちが気に入ったアーティストと好きな写真に投票しました。「多様性の受け入れ」と「遊ぶ権利」についてのメッセージを反映した2つのイメージが選ばれました。

子どもたちの安全な登校や、安全な遊び場の確保が妨げられることはあってはならないことです。しかし、それがアイン・ヘルワで暮らす多くの子どもたちの現実です。

写真: H. Saleh / ICRC

アイン・ヘルワの街はたったの1キロ四方。そこに約7万の難民が住んでいる。パレスチナ人難民キャンプは何年も打ち続く暴力により居住区域が狭くなり、大人も子どももストレスの多い毎日だ。

キャンプ地の壁、特に学校の壁は銃痕が生々しい。学校に対する暴力を受け、ICRCはレバノン赤十字社や国連難民救済事業機関(UNRWA)とチームを組み、学校を対象に安全避難プロジェクトを開始。

ICRCは、子どもにとって快適な空間を作ろうと、コミュニティ単位のプログラムを開始。

ストリート・アート・プロジェクトを開始するにあたり、ICRCはまずキャンプ地の壁をどうデザインしたいかを子どもたちに聞いた。

その後、アーティスト2名によるさまざまな提案に子どもたちが投票。安全、多様性の受け入れ、子ども時代のメッセージを反映するイメージが選ばれた。

ある少年の願い:「安心して学校まで歩いて通いたい。銃で撃たれるのはいや。いじめられるのもいや」

絵を描いたり、色を塗ったりして楽しむ子どもたち。隠れた才能が一斉に花開く。

このプロジェクトの後、子どもたちがアルワン・センターに通うようになった。センターは、ICRCが若い人たちの為に数多くのプログラムを展開するアイン・ヘルワの中心地に位置する。

壁画が完成し、近所や家の壁にも絵を描きたいとチームメンバーに意欲を語る子どもたち。