スーダン:愛する人の行方も分からぬまま、数十万人がワド・メダニから避難

スーダン
2024.01.18

©ICRC

戦闘の激しさを増すスーダン中東部ゲジーラ州の州都ワド・メダニでは現在、数十万人が避難を余儀なくされています。赤十字国際委員会(ICRC)は、紛争当事者に対し、すべての民間人の保護と避難する人への安全な経路の提供など早急な対応を求めています。

「これまでワド・メダニは、ハルツームの戦闘から逃れてきた人びとにとって安全な避難先でした。しかし、今はワド・メダニさえも危険な場所となり、私たちは不安な気持ちです」と語るのは、ICRCスーダン代表部の首席代表ピエール・ドルベス。「爆発音でパニックになった人びとは交通渋滞と混乱の中、必死に逃げ回っていました。このようなことが起こるたびに、多くの家族が離ればなれになり、高齢者や障がい者のような弱い立場に置かれている人びとは取り残されている現状です」。

ワド・メダニは、激しい敵対行為により、人口が密集していた大部分が破壊され、必要な公的サービスを受けられず孤立状態に陥った首都ハルツームの住民にとって、避難先の1つでした。

激しさを増すワド・メダニでの戦闘により、ICRC職員は一時的に安全を確保できる場所へと避難せざるを得ない状態です。ICRC は引き続き、紛争当事者と対話を行い、戦闘の影響により人道的ニーズが急増しているすべての地域に至急、人道支援へのアクセスを設けるよう求めています。

紛争が激化し9カ月が経った現在、スーダンの歴史上、過去最多となる約600万人が避難を余儀なくされています。暴力の応酬から命からがら逃れてきた人びとは食料や水などの必需品が不足している中、絶え間ない恐怖と不安と隣り合わせの日々を過ごしています。

多くのスーダン人が幾度も避難を強いられる一方、逃げることも叶わず危険な地域から身動きの取れない人びともいます。

このような厳しい状況が続く中、過去3カ月間で、ICRCとスーダン赤新月社は、親しい人との連絡が取れなくなった人に対して約9,500回の電話を手配しました。ICRCはまた、3つの州(東部ガダーレフ州、ゲジーラ州、西部西ダルフール州)で暮らす避難民2万2,000人に現金給付を実施しました。

2023年10月から12月までにICRCがおこなった支援

  • ハルツームで64人、ダルフールで274人(未成年者64人を含む)の被拘束者の解放に関与。
  • (西ダルフール州)ジュナイナと(中央ダルフール州)ザリンギでスーダン赤新月社のボランティア44人に遺体の取り扱いに関するトレーニングを実施。
  • 2,380人以上の武器保有者に国際人道法のルールに関する啓発活動を実施。
  • 東部カッサラ州、ゲジーラ州、北東部に位置する紅海州ポートスーダン、ハルツーム州にある4つの病院に医薬品や医療器具を提供。
  • 外科的手術を行うため、外科医、麻酔科医、看護師、病院プログラムマネージャーで構成されたチームをジュナイナへ派遣し、232件の手術を実施。
  • コミュニティーキッチンを通じて、5,640人の避難民に1日2食の温かい食事を提供。
  • 3つの地域(ハルツーム、ガダーレフ、ワド・メダニ)に6,000キロの塩素と42万個の浄水タブレットを提供。
  • 6つの地域(ガダーレフ、ワド・メダニ、ニヤラ、ジュナイナ、ダマジン、エル・ファシール)でスーダン赤新月社によるコレラ予防啓発キャンペーンを支援。