コンゴ民主共和国-紛争の負の連鎖を断つために国際人道法の遵守を

アフリカ
2025.05.16
Democratic Republic of Congo

©ICRC

ジュネーブ(ICRC)―コンゴ民主共和国(DRC)東部で紛争が激化し、多数の死傷者が出ています。破壊が進み、何万もの人びとが安全を求めて越境。避難を余儀なくされています。赤十字国際委員会(ICRC)のミリアナ・スポリアリッチ総裁は、戦時のルールを定めた国際人道法の遵守とともに、戦争から民間人を守るため、緊急的かつ具体的な措置をいますぐ講じるよう呼びかけました。

5月6-8日の3日間、隣国ルワンダとDRCを訪れた総裁は、次のように語りました。「何世代にもわたり 終わりのない苦しみと損失を与え、住む場所を奪った紛争の悪循環を今こそ断ち切るときです。民間人を守るための人道上の措置は、今を生きる人びとの救済にとどまらず、地域社会が是が非でも必要とする長期的な安定基盤の構築につながるでしょう」。

4月30日、ICRCは中立的な仲介者として、武装解除した数百名のDRCの兵士と警察官、またその家族を伴い、北キブ州の州都ゴマから首都キンシャサに移動しました。このオペレーションは、DRC政府と国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)、コンゴ川同盟/3月23日運動(M23)の要請により実施。前線から約2,000キロメートルに及んだため困難が伴いましたが、800人余りを首都に無事届けることができました。

今回のオペレーションを足がかりとして、実質的な苦しみの軽減と、人道上の措置に向けた合意がもたらされることを望んでいます。ICRCは中立的な仲介者として、そうした合意を支援する準備ができています。

ICRC総裁 ミリアナ・スポリアリッチ

スポリアリッチ総裁は今回の訪問中に、両国の指導者をはじめ、それぞれの国の赤十字社の幹部およびボランティアと面会しました。

現在進行中の紛争は、アフリカ大湖地域の危機を増幅させています。何百万もの人びとが家を追われ、DRCの国内外へと避難を余儀なくされています。特に北キブ州と南キブ州の人道状況は深刻です。ICRCが支援する医療施設が2025年1月以降に受け入れた負傷者は2,000人を超え、その大半は民間人です。施設は収容能力を越え、インフラが広範囲に破壊されたことで、水や衛生環境、教育といった必要不可欠な社会サービスが機能不全の危機に瀕しています。人口密集地における爆発性兵器や戦争残存物の脅威や食料不安の蔓延、感染症の流行によって、民間人の命はさらに危険にさらされています。

ここまでの苦しみがもたらされる事態を、紛争だからしょうがない、と片付けることがあってはなりません。民間人を保護し、その生活を支えるインフラを守るために、国際人道法を守ることは必須です。戦時の残忍な行為に制限を加えることが、平和に向けた道筋をつけることにもつながるのです。

ICRC総裁 ミリアナ・スポリアリッチ

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