赤十字の7原則:中立(Neutrality)
すべての人の信頼を得て活動するため、いっさいの争いに加わりません
赤十字が敵味方の区別なく全ての人を救うためには、組織の中立性が要となってきます。
中立とは、紛争から遠ざかり、当事者とも距離を置く、といった回避的・消極的な姿勢ではなく、犠牲者へのアクセスを確保する目的で、全ての関係当局 ・勢力と平等に接し、話し合い、信頼されるための手段です。政治的介入は一切行わず、人道に則った行動を繰り返し説きます。
政府側にいる人、反政府側にいる人、双方の下へ安全に駆けつけて初めて、私たちは支援や保護が提供できるのです。
中立にまつわるエピソード①
ICRCの調整により結婚が実現したカップルのストーリー
「中立とは、結婚できること」
占領下にあるゴラン高原出身のニハルと国境を接するシリアからの男性との結婚を、非武装地帯で執り行えるよう、国際赤十字・赤新月活動が支援。私たちは関係当局との合意確認や安全の確保などを行いました。双方の家族は二人の結婚を祝い、とても貴重な時間を過ごすことができました。
中立にまつわるエピソード②
赤十字国際委員会(ICRC)フィールド要員 三田真秀
ICRCは、武力紛争およびその他の暴力の伴う事態によって犠牲を強いられる人々の生命と尊厳を保護し、必要な援助を提供することをその人道的使命としています。どんなに政治的に難しい局面においても、中立と独立の姿勢を貫くことで、支援の手を必要としている全ての人々に対するアクセスが確保されます。
ICRCならではの活動といえる収容所の定期訪問。私たちは、国際人道法の番人として、捕虜や治安上の理由で拘束された人々を定期的に訪問し、当局とともに、自由を奪われた人々が人道的な処遇を受けているかをモニタリングします。ただし、ICRCはその詳細な活動報告書を他の団体と共有したり、一般に公表することはありません。その代わりに、施設内に問題を発見した場合は、数少ない例外を除いて、非公開の対話を通じて関係当局に状況の改善を打診します。このような「守秘義務」の原則によって構築された信頼関係により、「中立」を保つICRCは紛争時でさえも継続して人道支援を行うことができます。
国際赤十字・赤新月運動(「各国赤十字社・赤新月社」、「国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)」およびICRCの3つの機関により形成)の各パートナーは、人道危機の最前線で苦痛を強いられている人々に「最後の砦」として寄り添い続けます。