助けが必要な人に寄り添うために欠かせない「赤十字の7つの原則」

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現在でも人びとの近くで人道支援の職人として寄り添うことができているのは、私たちを導く7つの基本原則があるからです。1965年に採択された、人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性の原則は、私たちを最も必要とする人びとに支援を届けるための手段であり、活動指針でもあります。

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7原則は赤十字の活動の『羅針盤』
最も危険で分極化した環境において、私たちが取るべき行動を指し示す羅針盤として機能します。助けを求めている人の出自や思想、紛争当事者のどちら側についているのかを問わず、純粋に人びとのニーズのみに基づいて支援を提供することを可能にします。
- 他団体が入り込めない場所に食料や水、医療、シェルターを届けるため、前線を自由に行き来できるよう交渉します
- 民間人や負傷した戦闘員の安全な避難および医療搬送を可能にします
- 武力紛争や自然災害、移住によって離散した家族を再会に導くことができます
- 遺体の尊厳ある帰還を実現させ、家族の元へ返すことができます
- 情勢不安のさなかでも、医療や水、感染症対策など、不可欠なサービスを支援できます
コミュニティーや当局、そしてすべての紛争当事者が赤十字の原則に基づく活動を信頼し対話できてこそ、こうした活動が可能になります。
私たちが辿り着く人びととは…
- ガザ南部ラファでの緊急医療の提供:ICRCが運営する赤十字野外病院では、開設後一年間で80,000件以上の診察、3,000件以上の手術と約4000件の出産がおこなわれました。
- ウクライナ-ロシア紛争における家族間の通信:14,800以上の世帯が消息を絶った身内の安否を知る手助けをし、捕虜とその家族間においては20,900件以上の通信を可能にしました。
- 紛争関連で捕らわれたイエメンの人びとへの支援:2020年以降、1,000人以上の被拘束者の釈放と安全な帰還に携わり、長年にわたって離ればなれになっていた家族を再会へと導くことができました。
- コンゴ民主共和国における元兵士と家族への支援:武装解除した1,300人以上の兵士とその家族を安全に帰還させるため、前線をまたいで移送しました。
- アフガニスタンでのリハビリ支援:戦争によって負傷した何万もの人びとに義肢と理学療法を提供し、身体機能を取り戻し社会参画できるよう導きました。
- 被災者支援:パキスタンの洪水からベイルート港での爆発まで、赤十字・赤新月社のボランティアによる公平な対応がシェルターや医療の提供など、緊急救援を可能にしました。

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それでも立ちはだかる困難
しかし、今日では、こうした原則を掲げた人道支援が脅威にさらされています。
- 人道支援従事者への攻撃が後を絶ちません。2024年は史上最多の犠牲者数を記録し、2025年も同様の悲劇を辿っています。
- 援助の政治化によって公平性を損ない、政治的なアジェンダと急激に結びついてしまっています。
- 誤った情報の喧伝によって支援活動が信頼を失い、支援を必要とするコミュニティーへの安全なアクセスを脅かしています。
- 人間性を無視した言説は、民間人を保護の対象から切り離し、援助の軍事化が戦闘員と人道支援従事者の間の境界線をあいまいにしています。
また、進歩する技術は、新たなジレンマももたらします。デジタルツールは迅速な援助を可能にする一方で、人びとの共感する力をむしばみ、依存関係を作り出し、偏った認識を増幅させます。この点においても、特に人道・中立・公平・独立という4つの原則は、デジタル時代に身を置く私たちを導く羅針盤として有用です。
より多くの人びとに辿り着くために
赤十字の原則は、活動するスペースを作り出してくれますが、それはあくまでも原則が尊重される場合に限ります。私たちは、国家およびすべての関係者に対して以下の事柄を要請します。
- 中立、公平かつ独立した人道スペースを保護する
- 制裁と対テロ作戦の措置が援助を妨げないようにする
- 各国赤十字・赤新月社の独立性を担保する
- 人道支援に拠出する資金に政治的制限や条件を課さない
- 偽情報や人道支援従事者を標的とした攻撃に対抗措置をとる

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最後に、赤十字運動を構成する私たちは、これら7つの原則があるからこそ、真っ暗な闇の中にいる人びとに寄り添い、尊厳や希望、そして人間性を取り戻すお手伝いができるのです。
赤十字7原則を掲げて60年、私たちは、現場の閉ざされた扉を開き、疑念渦巻く中でも信頼を築き、最も必要とされている場所に支援を届けてきました。それは今もって私たちの活動の基盤であり、毎年何百万もの人びとの命をつなぐ生命線となっています。
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