ミャンマーで仏教と国際人道法の共通概念を議論
ミャンマー(ICRC) –– 2020年2月8、9日 の二日間、「紛争下の苦しみを減らす:仏教と国際人道法の接点」をテーマに、赤十字国際委員会(ICRC)とシャン州仏教大学(SSBU)がワークショップを実施。アジアで仏教関係者とイベントを共催したのは初の試みで、仏教界との今後の連携に大きな一歩を踏み出しました。シャン州内外から著名な学問僧や尼僧、学生など約50名が参加し、仏教と国際人道法(IHL)の協働について、ICRCと議論しました。
参加者は、仏教とIHLの概念や原則に共通するテーマについて議論。二日間で、慈愛や尊厳、武力の行使、自己鍛錬・自制心、自己認識、政府の責任、性暴力、最も弱い立場にある人々への緊急支援、傷病者の手当などに話が及びました。また、人道の原則とICRCの任務やアイデンティティについても活発な意見交換が行われました。
また、アジアの仏教学者の中でも重鎮のアサンガ・ティラカランテ教授が、紛争の実態を突き詰め、それをどうやって仏教の教義やIHLの原則に当てはめることができるのか、自身の見解を示しました。
2019年9月にICRCスリランカ代表部が開催した、仏教とIHLに関する初の国際会議の成果を踏まえて今回のワークショップが実現(関連記事はこちら)。ICRCミャンマー代表部は、ICRCバンコク地域代表部のグローバル・アフェアーズ・ユニットの支援を受けて、仏教を含めた宗教関係者とのネットワーク拡大に二年前から取り組んできました。ワークショップは、SSBUの創設者であるカマイ・ダマサミ教授の後援のもと、SSBU設立4周年の記念行事の一環として開催され、前日にはミャンマーのウィン・ミン大統領が同学を訪問、ICRC代表団とも面会しました。ICRCがこの領域で受け入れられているということに加えて、社会を構成するすべての人々を取り込む中立な組織として認識されていることを示す重要な指標となりました。
「今回SSBUと共催したワークショップは、私たちにとってとても貴重で、重要な場となりました」と語るのはICRCミャンマー首席代表のステファン・サカリアン。「紛争や暴力の犠牲となっている人々を助けるにはどうしたらいいのか、参加者との意見交換を経て学ぶことができました。多くの議論やイベント全体を通して得たものは非常に多く、今後のさらなる発展が楽しみです」と総括しました。