ICRCインターンシップ 体験談 広報インターン春山奏璃さん

お知らせ
2021.05.25
赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表部の広報インターンとして勤務した春山奏璃さん

©ICRC

2021年1月から4月までの3カ月間、赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表部の広報インターンとして勤務した春山奏璃(はるやま かなり)さん。インターンシップを終えた春山さんの感想をご紹介します。

応募のきっかけは?

学部生時代にICRC主催の国際人道法模擬裁判大会へ参加し、ICRCを知りました。そこから、人道問題やその解決に強い関心を持ち始めたことがきっかけです。数ある人道支援機関の中でも、中立や独立などの原則を掲げるICRCが非常に魅力的であったことから、応募を決めました。また、大学4年生の夏に既に大学院への進学が決まっていたため、学部の授業が終わり、大学院入学までの3カ月を有効に使うことを意識していたことも応募理由の一つです。

業務内容は?

3カ月にわたって広報業務に携わりました。所属していたコミュニケーションの部署では多岐にわたり業務を行っています。例えば、ジュネーブにあるICRC本部が配信している記事を日本語で記事化し、日本のウェブサイトで掲載することもその一つです。専門用語を使わず、一般の読者でも分かりやすく記事を作成することは簡単なようで難しく、広報チームのスタッフにアドバイスをいただきながら作成しました。また、翻訳のみならず、文章構成におけるテクニックやデザインなど細部についても教えていただき、広報業務における全体の流れを理解することができました。

日本語版記事の作成以外にも、FacebookTwitterなどのSNSを使った広報業務にも携わりました。キャンペーンの展開や動画素材の翻訳・制作にもアシスタントとして加わり、デジタルプロモーションにおけるノウハウも学ぶことができました。

また、3カ月のインターン期間中で最も学ぶことが多かったのは毎月発行している電子版ニュースレターの制作を主体的に進められたことです。ICRC駐日代表部では世界100カ国以上で活動しているICRCの活動やイベント情報などをニュースレターを通じて発信しているのですが、ニュースレターの企画やスケジュール調整、編集会議での発表も行いました。インターン業務というと言われたことを淡々とおこなうイメージですが、ニュースレターの発行については自ら企画を提案したり、全体のスケジュールを管理することでゼロから制作に携わりました。企画書の作成や全体の構成など苦戦したことは多々ありましたが、自分のアイディアやスキルを活かしチームの一員として貢献できたと思います。

特に印象に残っていることは?

インターン期間中に現場で活動しているデレゲート(国際要員)のスタッフにインタビューを行い、記事を作成する機会をいただきました。実際に現場へ派遣されている日本人職員の経験談を聞くことで、現場における紛争の甚大な影響を知ったり、人道ニーズに対応するための支援体制や事業、ICRCを構成する派遣職員の一人一人がどのような活動にどのような思いで取り組んでいるのかを理解したりすることができました。インターン参加以前は、人道分野について学問(私の場合は国際人道法)という単一的な視点でのみ学んでいたことで、私の理解不足や現場のダイナミズムを痛感させられました。それまでは、国際的な大枠で人道支援を捉えていたのですが、実際に紛争の現場でどのような取り組みがなされていて、それらが地元の人々だけでなく紛争当事者にどのような影響を与えるのかについて学べたのは意義深かったです。そしてなにより、実際に現場に派遣された職員が個人レベルでどう貢献していたのか、その可能性や限界を知れたことは私の今後のキャリアにとって大変有意義な体験となりました。

今後の展望を聞かせてください

具体的なキャリアプランは未定ですが、人道分野における国際問題の解決に貢献できる仕事に就きたいと考えています。今回のICRCでインターンシップを経験したことで、その気持ちはより強まりました。

ICRCでインターンシップを考えている人たちへ

ICRCは国際機関でもNGOでもなく、国際人道法から役割を与えられた、独立した国際人道組織です。とてもユニークな立場で人道問題に取り組み、その地位を確立しているため、他の組織では経験できない貴重な経験を得ることが出来ます。また、3カ月から6カ月という期間は長いようにも思えますが、長期で勤められるからこそ多岐にわたり業務を任され、スタッフとの交流を深められるという利点もあります。学業やプライベートとの両立は課題になりますが、人道支援の「現場」に一員として参加できるのはそれ以上の価値を感じます。もし人道分野に関する国際組織・機関、NGOおよび省庁への就職を将来のキャリアの一つとして検討している場合は、参加を強くお勧めします。