戦時でも人間性を保って:世界の指導者が国際人道法を守るため団結

プレスリリース
2025.09.24

logos of organization joining in launched the Global Initiative to galvanize political commitment for IHL

世界各地の紛争において国際人道法違反が跋扈し、その結果人びとが理不尽な苦しみを強いられています。こうした現状を懸念して、ブラジルと中国、フランス、ヨルダン、カザフスタン、そして南アフリカの指導者は、赤十字国際委員会(ICRC)とともに国家と国際社会に行動を促します。

私たちは一年前、国際人道法のための政治的なコミットメントを促進するべく、グローバルイニシアチブを立ち上げました。世界が目の当たりにしている人道法違反の潮流を食い止めるため、断固として行動しなければならないという強い責任感と緊急性が私たちを突き動かしました。

戦時において人間性を保つため、これまでに89カ国が本イニシアチブに正式参加しています。うち27カ国は、テーマ別の7つの作業部会を共同で主導。人道法の順守をいかに強化するかについて実践的な提言を打ち出し、現代の戦争の形態が変遷を遂げる中で生じる課題に取り組んでいます。

昨年、130カ国以上が、国際人道法の順守強化について世界・地域レベルの協議に参加しました。そこでは、人道法上の保護にまつわる解釈が共通のテーマとして浮上し、各国からの要請を受けて研究をおこないました。来月にも中間報告を公表する予定です。

人道法の軸を成すジュネーブ諸条約を実際に守り、実施し、適用する責任は国家にあることを前提として、本イニシアチブは、世界中のあらゆる紛争を対象とし、関連するすべての利害関係者に働きかけます。そして、国際人道法が徹底的に満遍なく適用されることを目指します。

私たちが紛争の全当事者に人道法の遵守を訴えている理由は、そこにあります。すべての国家が、国際人道法を徹底して尊重する義務を負うことを再確認する作業でもあります。占領地であっても、民間人をはじめ、民用物や医療従事者、人道支援要員、ジャーナリストは保護されなければなりません。この点においては、国連憲章を掲げる国連も、他の多国間の枠組みとともに重要な役割を果たしています。

私たちは、戦時に人間性を保つためのグローバルハイレベル会合を、来年2026年に共同開催することをここに宣言します。そして、すべての国家に対して、同会合までに次の事項を検討するよう求めます。

  • まずは、国内で国際人道法に資すること。継続中の紛争を含め、人道法がきちんと守られるよう必要な資源を十分に投じること。
  • 国内法や戦時を想定した準備対応策に国際人道法を取り入れること。軍や治安部隊を十分訓練して有事に備え、国際人道法国内委員会の実質的な役割強化などを通して推進すること。
  • 国際人道法のためのグローバルイニシアチブに正式に参加し、積極的に協議に関与して他国にも同様の行動を促すこと。

第二次世界大戦の教訓を生かし、ジュネーブ条約が4つに発展してから76年。私たちは世界中の指導者に向けて、戦時における残虐行為を防ぎ、人間性を守るという共通の責任のもとに団結することを声高に求めます。国際人道法の基本原則が、常態的に、そして意図的に侵害されている現状を、国際社会はただ手をこまねいて見ているわけにはいきません。想像を絶する、そして許しがたい苦しみと破壊は、現代の紛争を特徴づけるものとなってしまいました。私たちが共に手を取り合えば、この現実に終止符を打ち、平和的な解決をもたらすことができるのです。

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