インドから調達した高品質な物資を世界各地に供給

インド
2022.09.13

©ICRC

赤十字国際委員会(ICRC)の役目の一つは、世界各地で紛争下に置かれた人々を支援すべく、物資を調達することです。その一環として、武力紛争や災害に見舞われた国で暮らす、極めて困難な状況下にある受益者のために、別つの国から救援物資を調達して送り届けるということも行っています。 インドは、このようにICRCが物資を調達する重要な拠点の一つとなりつつあります。例えば、過去5年間に、21,066トンの米と254万枚の毛布をインドで調達し、シリアに輸出。ICRCの支援する現地コミュニティーで暮らす人々、つまり長年にわたる紛争により、十分な食料を入手することや基本的なニーズを満たすことにさえ苦労している人々の元に届けました。

戦略的に好立地であり、高品質なモノの生産能力があるインドは、ICRCが救援物資を調達し、世界各地で人道支援を行う上で、重要な役割を果たしています。

2017年から2022年3月までの間に、ICRCは52億4,200万ルピー(6,930万米ドル、または、99.5億円*)余りのモノやサービスをインドのサプライヤーから調達しました。
*円ドルレート:143.6円

インドから調達した物資トップ5

©ICRC

この5年間にインドから調達した物資には、治療用等の栄養補助食品や医薬品、毛布、ベッドマット、キッチンセット、通学用品、保冷ボックスなどの生活用品や衛生用品の他、水や電気の供給を回復するための手動ポンプや電気ケーブルなどがあります。それらを、アフガニスタンからバングラデシュ、イエメン、イラク、ヨルダン、エチオピア、ケニア、スーダン、ナイジェリア、リビアで暮らす、支援を求めている男性や女性、子どもなど、さまざまな属性の人々の元に届けました。

私たちが日常的に使っている製品の中には、生産地がわからないものがたくさんあります。その一方で、私たちは、製品の品質、あるいは、価格や入手のし易さを生産地で判断しがちです。しかし、実際のところ、製品の品質を大きく左右するのは、取引先のメーカーや支払可能な金額、モニター体制です。ですから、ICRCの調達部門は、要求を満たす製品を供給できるメーカーを日々熱心に探す他、製品が現地に輸出される前に、生産状況を注意深くモニターし、第三者機関による検査やラボテストを実施しています。また、適切な製品を調達することに加え、メーカーが国やICRCの基準を守っていることを確認することも重要なポイントです。こうした仕組みにより、ICRCはクリーンな調達を実現し、適切な製品の入手を図っています。このように、インドなどさまざまな国から多岐にわたる救援物資を調達することで、ICRCは、影響力のある人道団体としての役割を果たすことができています。

アジア地域調達担当ベンジャミン・フレイ

ここ数年、コロナ禍が続く中、サプライチェーン上のさまざまな問題が発生しました。そのような中でも、ニューデリーに拠点を置くICRCのアジア地域調達部門は、さまざまな生産先との取引きを続け、倫理や品質、社会、環境などの面で基準に準拠していることを確認した上で、物資を各国に送り届けてきました。

公正で体系だったシステムを構築することで、物資やサービスを受益者に効率的かつ効果的に提供することができます。私たちが特に注意を払っているのは、製品の品質や価格だけではありません。労働条件や衛生、安全性、環境への配慮、工場の品質管理システムなどの面でも、企業が社会的責任を果たし、コンプライアンスを守っているかどうかを重視しています。

また、ICRCは、サプライヤーの評価・監査・指導を行い、外部の研究所で厳しい検査を実施する他、最適な方法で倉庫保管や出荷がなされているかを検証しています。こうしたさまざまなプロセスを経た結果、推奨される是正措置や国際基準を満たすための方法をメーカーに伝えることもあります。

なお、物資の調達に関連し、ICRCでは現在、以下の入札情報を公開しています。
• バケツ(14リットル)に関する入札情報(英語版のみ)
※ICRCおよび外部ラボへのサンプル品の提供期限:2022年10月7日18:00 CEST
※ラボでの検査結果を含むコマーシャルオファーの提出期限:2022年11月18日12:00 CEST

• 折り畳み式ポリ容器(10リットルと20リットル)に関する入札情報(英語版のみ)
※ICRCおよび外部ラボへのサンプル品の提供期限:2022年9月30日18:00 CEST
※ラボでの検査結果を含むコマーシャルオファーの提出期限:2022年11月11日12:00 CEST