スーダン:一時停戦は食料・水・医療を求める住民の救いとなるか
ジュネーブ(ICRC)― スーダンから「一時停戦」の報告が届きました。実現すれば、食料や清潔な水を入手できず、医療を受けることもできずに家の中に閉じ込められている民間人の命が救われます。
4月半ばに都市部で戦闘が発生して以来、多くの命が危険にさらされています。既に死傷者が出ている一方で、救助隊がたどり着けない事態が続けば、その数は増え続けるばかりです。住宅街では爆弾の破片や銃弾が飛び交い、私たちのオフィスや宿舎も被弾しました。
すべての当事者は、国際人道法上の義務を全うしなければなりません。民間人が犠牲にならないよう、実行可能なあらゆる予防措置を講じ、重要な民間インフラを守る必要があります。また、被拘束者を人道的に扱い、救助隊が負傷者のケアや遺体の回収を尊厳をもって行えるよう人道支援のためのスペースを確保することも含まれます。
私たちは、すべての関係者に対して、二者間での対話や公の場での発言を通して、人道支援に不可欠なスペースの確保を求め続けて行きます。傷病者が救急処置を受けられなければ、人々の犠牲は増える一方です。
スーダンの首都ハルツームをはじめ、暴力の応酬に巻き込まれた地域にある病院では、医療物資や食料が不足しています。「電気や水道が使えない状態が数日間続いている」との電話が私たちに寄せられています。これでは、命に直結するサービスを提供することもできません。医療施設は保護されなければならず、医療従事者や車両が安全に行き来できる経路も確保されなければなりません。私たちICRCが医療施設にたどり着き、メンテナンスチームが発電所や給水所にアクセスできるようにすることは、緊急かつ最優先の課題です。
首都ハルツームが国際社会の関心を集めていますが、それ以外の地域でも暴力が横行しています。例えば、西部ダルフールでは、民間人に死傷者が出るなど非常に緊迫した事態が続いています。場所によっては、私たちの同僚も安全に移動できないため、人道ニーズが十分把握できていません。4月17日には、アル・ファシール・サザン病院とザリンゲイ病院に医療物資を提供しました。需要は高くとも、身の安全が保証されなければ活動できません。
電気や水などの民間インフラにも戦闘の影響が及んでいます。ハルツームでは、多くの市民が生活に必要不可欠なサービスを受けられなくなっています。人々は恐怖に怯え、食料も不足しています。空港や学校、市場、大学など、さまざまな場所に取り残された人々から寄せられる電話からは、「食料も水もなければ、自宅に戻ることもできない」と悲痛な声が聞こえてきます。
長年にわたる戦闘や情勢不安、経済の混乱によって、数百万のスーダン人が既に基本的なニーズを満たせない状況に置かれていた中で再燃した今回の暴力の応酬。人々のニーズは、今後さらに高まると予測されます。全土で370万人が避難民となり、ダルフールだけでも300万人を超えます。戦闘の拡大・激化が続けば、この数字はさらに増えることでしょう。既に外国からの難民100万人超を抱えるスーダンは、アフリカでも最大難民受け入れ国の一つです。
スーダンでは、食料不安と栄養失調が既に大きな問題となっています。主要な商品の価格が高騰し、昨年末の時点で1.5倍超に達しました。最貧層の人々や弱い立場に置かれた人々にとって、食料や生活必需品すら手が届かないものとなっています。それだけでなく、農業従事者は気候危機の影響で収穫ができず、暴力や情勢不安によって人々は幾度となく家を追われ、食卓を囲んだ家族団らんなど夢のまた夢となっています。
スーダンは現在、こうした複合的な人道上の緊急事態下にあり、すべての面で赤信号が点滅しています。今後数週間、数カ月にわたって国際社会からの支援はマストでしょう。目をそらさず、人々の命に向き合ってください。
ICRCは、1978年にスーダンに拠点を設けて以来、ダルフールや青ナイル、南コルドファンで紛争下にある人々を支援する他、国際人道法の普及を行ってきました。現在、ICRCはスーダン赤新月社と緊密に連携しながら、病院や保健施設に機材や物資を提供する他、地元の水道局と協力して住民の飲み水へのアクセスを改善し、当局による障がい者の身体リハビリテーションの提供を支援しています。
また、紛争下にある地域で避難生活を送る人々に緊急援助を提供し、農業従事者には種子や道具を配付し、牧畜業を営む人々には家畜の病気を予防するためのワクチン接種の機会を提供しています。紛争や避難生活により離ればなれになった家族が連絡を取り合えるようサポートし、当事者の要請に応じて被拘束者の解放も支援しています。さらに、私たちの重要な活動として、すべての紛争当事者が国際人道法を遵守するようモニタリングする他、非戦闘員の保護を強化するために当事者との二者間対話に努めています。