ミャンマー:被災者を苦しみから一旦解放するための勇気ある決断を
ジュネーブ/ヤンゴン(ICRC)―ミャンマーで起きたマグニチュード7.7の壊滅的な地震から一週間が経過。赤十字国際委員会(ICRC)はすべての当事者に対して、立場の違いを超えて、被災したすべてのコミュニティーに人道支援が行き届くよう便宜を図ることを要請しています。ミャンマーは国際社会からの支援を必要としており、紛争当事者は国際人道法の義務を遵守しなければなりません。
ICRCアジア大洋州地域局長のレジス・サビオは、「破壊的な地震と、それによって発生した甚大なニーズを受けて、当事者は、長年にわたる紛争と暴力によって著しく弱体化した地域社会に一時の休息をもたらすための合意に至るべきです」と語ります。「戦闘の一時停止が発表されて正しい方向に一歩を踏み出しましたが、期間の延長が必要不可欠です」。
地震が襲う以前から、約2,000万もの人びとが紛争や暴力により人道支援に頼らざるを得ない状況にいて、今ではさらなる支援を必要としています。捜索・救助活動が一段落し、瓦礫の下の生存者発見の望みが薄れるにつれ、被災したすべてのコミュニティーの増大するニーズに応えるため、支援を迅速に拡大しなくてはいけません。
マンダレーとサガインでは、多くの人が家に安全に戻ることができず、屋外で寝ることを余儀なくされています。100以上の病院や医療施設が深刻な被害を受けていて、とても安全な場所とは言えません。電気の供給はいまだ不安定で、これは水ポンプ場と処理施設が機能しないことを意味しています。日中の気温が40度を超える日も多いため、問題は深刻です。安全な飲料水の不足や衛生設備の損壊は、水に起因する病気や感染症のリスクを高めています。電気通信インフラの被害により家族と連絡を取ることができず、人道支援にも遅れが出ています。
ICRCヤンゴン代表部の首席代表アルノー・ド・ベックは「ICRCはミャンマー赤十字社(MRCS)や現地の他組織とともに、被害が甚大なマンダレーとサガインで緊急支援を提供しています」と話します。「支援の手が届きにくいシャン州でも同様に活動しています」。
赤十字運動のパートナーであるMRCSや国際赤十字・赤新月社連盟、また地元の他団体と協力して、すべての被災地において医療やシェルター、食料、そして清潔な水へのアクセスといった基本的なニーズを満たすことを最優先にしています。過去一週間でICRCが提供した支援には次のものが含まれます。マンダレーの病院に患者10,000人分の医療物資、軽症患者用の救急キット、井戸から水をくみ上げるための燃料、水用フィルター、緊急避難用備品。
ICRCのミャンマーでの活動について:
ICRCはミャンマーで何をしているのですか?
ICRCは、30年以上にわたってミャンマーで活動しています。カチン州やカレン州、カヤー州、ラカイン州、シャン州、そしてマンダレー地域において、武力紛争の被害を受けた人びとに支援を提供しています。ICRCの活動規模では、アフガニスタンに次いでアジアで2番目に大きい国です。
援助は、緊急的なものから長期間にわたるものまであり、重大な危機においては、緊急のニーズに応えるため食料や生活必需品を配付 します。長期にわたり危機下にある場合は、収入を得るための職業訓練などもおこないます。
私たちの支援には、生活環境に加えて、清潔な水や医療施設へのアクセスを改善することも含まれます。国際人道法の普及と同時に、地雷などによる武器汚染のリスクの啓発もおこないます。
また、収容当局との対話を通して、すべての被拘束者に対して人道的な待遇を徹底してもらい、収容環境を整え、家族と連絡が取れるように促します。
ICRCは中立・独立・公平を基本原則として掲げていますが、ミャンマーではどのように独立性を確保しているのですか?
ミャンマーでは、政治的・軍事的影響を受けずに人道援助をおこなえるよう、すべての関係者と直接会って対話しています。支援を必要としている人に辿り着けるよう独立した立場でアクセスについて話し合い、ニーズを客観的に分析し、紛争や暴力、災害の影響を受けた地域社会に出向いて直接支援を提供しています。
ミャンマーでICRCが直面している課題はありますか?
国内各地で活動を展開するうえで、現在進行中の武力紛争や行政上の規制、道路の封鎖やインフラの破壊などの難題が山積しています。中立性を保ちながら、微妙な政治情勢の中で活動することもまた、難しい舵取りを強いられています。