固定観念を打ち破る-紛争地の女性に力を与えよう
「武力紛争を生き抜く女性たちに、紛争の現実に立ち向かう力を与えよう!」
2019年3月21日に赤十字国際委員会 (ICRC) とUN Womenが主催した「紛争下の女性の役割」の議論の中で、パネリストと参加者が各国および国際コミュニティーにこう呼びかけました。
このイベントには、人道支援、軍事機関、政府、外交団、学術団体の代表者らが集まりました。参加者は、女性が紛争下で担う複雑で、時に矛盾する数多くの役割について調査を行ってきた人たちです。
パネリストや参加者らは、紛争下での女性の積極的役割が過小評価されたり、無視されている事実を踏まえて討論しました。女性を単なる犠牲者ではなく、厳しい日常と闘い、必死に生き抜こうとする傍ら、人道主義を実践し、平和の維持に努め、交渉事にかかわりながら、母や労働者、コミュニティリーダーとして積極的かつ不可欠な役割の担い手です。
パネリストの顔ぶれは以下:
- ルワンダ国防軍 Lausane Ingabire大佐 / 複数の国連平和維持活動に参加し、中央アフリカ共和国でのミッションでは副官を務めた
- Alphonsine Murekatete警部 / 国連平和維持活動に、ダルフール国連・AU合同ミッション(UNAMID)の文民警察官 として参加
- Novella Nikwigize氏 / メディアパーソナリティで、UN Womenではジェンダーと開発問題における相談役を務める
Alphonsine警部は、主な責任は、女性に活力と権限を与えるための法律、政策、方策を整備する立場にいるリーダー達にあると述べました。ただし、女性自身も自分の娘たちに対して、紛争の防止や平和維持、平和構築のプロセスに積極的な役割を果たせる人間なのだと若い時から自覚させ、伸ばしていく最初の一歩を踏み出してほしいと付け加えました。
Lausane大佐は軍事的な観点から、まずは女性が初めの一歩を踏み出すべき、と言及。その背景には、時に腕力など実力行使に対する難しい判断を多くの女性が避けたがる現実があります。
「女性の立場からアドバイスするとしたら、自分の考え方を改め、自分を信じてください、と伝えたいです。男性ができることは私たちにもできます。私がお手本になるとは思いませんが、私は兵士として、平和維持軍の一員として、また母として、これまで自分の責任を躊躇なく全うしてきました」と、大佐は語りました。
Novella Nikwigize氏は、紛争終結後の和平合意に向けた交渉において、女性が交渉のテーブルから外されることが多いのは残念だと発言。女性の交渉スキルの高さが既に証明されていることから、紛争時や紛争終結後のプロセスにおいて、あらゆる局面で女性を巻き込むべきだと勧告しました。
「UN Womenの調査によれば、女性が和平合意に向けた交渉に参加することで、成果や履行に良い影響をもたらしています」とNikwigize氏は説明しています。
主賓として招かれたルワンダの女性家族省常任事務次官 (MIJEPROF)、Umutoni Gatsinzi Nadine氏は、与えられた役割を女性が効果的に果たすうえで妨げになる要素として、知識や能力の不足、ネガティブな文化的規範、そして家父長制、の三点を挙げ、紛争下の女性が直面する主な課題だと指摘しました。
Umutoni氏はまた、武力紛争に直面する女性を効果的に力づけるため、すべてのアクターが力を合わせようと呼びかけました。
「今日この会場にいる関係者の皆さんに訴えます。持続可能な開発のために必要な紛争防止や平和構築のあらゆる局面で、女性が意味のある参加を果たせるような共生社会の実現に向けて協力し、力を尽くそうではありませんか」
本イベントは、3月8日の国際女性デーに合わせて企画され、人道問題や政策を討論・議論するためにICRCが新設した「ヒューマニタリウム・キガリ」というフォーラム内で実施されました。