60年目を迎えるイエメンでの人道支援
首都サヌア(ICRC)―赤十字国際委員会(ICRC)がイエメンで人道支援を始めて、60年目を迎えます。イエメンの人々が切実に必要としている人道支援を公平に届けるためにも、ICRCは国家および非国家主体とこれまでも、そして、これからも建設的に関わり続けていきます。
1962年以来、ICRCはイエメンの人々の苦しみに寄り添い、武力紛争やその他暴力事態の犠牲となっている人々に幅広い支援プログラムを提供し続けてきました。この60年の節目にICRCは、50年にわたり主要なパートナーとして活動を補完し合ってきたイエメン赤新月社とともに、これからも同国各地で人道支援を実施していく決意を新たにしています。
この60年の節目は、国際人道法の遵守がこれまで同様、これからも必要であることを再認識する機会です。8年にわたる武力紛争下で、暴力や経済的苦境に見舞われてきた住民たちが状況に対応する力は尽きつつあります。すべての紛争当事者が戦時の決まりごとを守り、民間人への被害を最小限に抑えることが引き続き不可欠です。一方で、イエメンの人々の苦悩を終わらせることができるのは、対話の再開と政治的解決のみです。
ICRCイエメン代表部カタリーナ・リッツ首席代表
ICRCは、戦争の決まりごとを定めた1949年のジュネーブ諸条約の守護者であり、国際人道法の尊重および各国の国内法への反映を促進することで紛争下における人類の保護に貢献する、中立かつ独立した人道支援組織です。
私たちは、公平の原則と人々のニーズのみに基づいて、イエメンで人道支援を実施しています。同国に人道支援を公平に届けるためにも、ICRCは国家および非国家主体とこれまでも、これからも建設的に関わり続けていきます。過去60年にわたり私たちを受け入れてきたイエメンの人々に感謝する一方で、国際社会に対しては、同国の人道ニーズを見過ごすことがないよう求めます。
ICRCイエメン代表部カタリーナ・リッツ首席代表
紛争の解決策が見いだせないことに加えて、経済的苦境の拡大や気候危機の影響、人道支援や開発支援活動への資金提供の減少が相まって、イエメンの人道状況は2023年も改善されないことが予想されます。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、今年は推定2,160万人(同国の人口の3分の2超) が人道支援や保護を必要とする見通しです。
2022年上半期イエメン活動報告:
2022年、ICRCはパートナー機関であるイエメン赤新月社とともに、医療や経済安全保障、水、保護の分野に重点を置いて、イエメンで人道支援を実施しました。そのうち、上半期(1~6月)に行った活動は、以下の通り。
- 58の医療施設に対して、物資や技術、資金面での支援を実施。これにより、同国各地で100万人以上に寄与。
- ICRCの支援する、6つの州に拠点を置く5つのリハビリセンターで、11万人超の障がい者をサポート。
- 30万人超の生計を支援(食料や生活必需品の配付、無条件の現金給付、生計に必要な現金補助金やバウチャーの提供、家畜のワクチン接種など)。
- 67万人超に安全な水へのアクセスを提供。
- 全国で15以上の収容施設を訪問し、自由を奪われた人々が必要とする支援を提供。
- サウジアラビアで収容されていた119人のイエメン人の帰還を支援。
- 1,000通以上の赤十字通信を届け、大切な人との連絡回復を支援。