紛争下で直面する難しい選択:デジタルジレンマ体験
赤十字国際委員会(ICRC)は、ジュネーブ諸条約75周年を記念したイベントなどを通じて、紛争下に置かれた一般市民や人道支援スタッフが直面する厳しい現実をイマーシブ(没入型)体験できる「デジタルジレンマ」を各地で紹介しています。ICRCは、デジタルテクノロジーがもたらす多大な影響やリスクを知ってもらうことで注意を喚起する目的で、デジタルジレンマを開発しました。また、紛争下や被災地など、あらゆる立場に置かれた人びとを守るために必要なインフラの改善に向けて、政策決定者にとどまらず、社会全体に対して行動を起こしてもらうことも、私たちの狙いの一つです。
デジタル時代に直面するジレンマ
体験者にはいくつかの選択肢が与えられ、それぞれの選択によって結果が異なります。ソーシャルネットワークから生体認証や接続行為まで、デジタルテクノロジーが戦時下の人びとにどれほど重大な影響を与えているかが垣間見られます。そうした体験を通して、デジタル空間で共有される情報が、さまざまな社会的サービスにアクセスするうえで大きな役割を果たしていることが実感できます。また同時に、個人情報を外部にさらし、監視が可能となり、ニセ情報が容易に拡散されることで、一般市民や人道支援スタッフに忍び寄る危険を身をもって知ることができます。
「デジタルジレンマ」開発と公開
ICRCは2021年、「デジタルのジレンマ」の第一版を開発。2023年に新たな課題を加えて第二版を公開し、スイス連邦と共同でニューヨークの国連本部において初披露しました。以降、オンラインのインタラクティブな視聴覚体験として、幅広く一般公開されています。
日本語版は、第一版(旧バージョン)のみこちらからご覧いただけます。
第二版では、スイス連邦工科大学のローザンヌ校(EPFL)とチューリッヒ校(ETH)と共同で実施している「人道支援のためのエンジニアリング」イニシアティブを通じて開発したソリューションを紹介しています。