ICRC総裁、国際人道法が尊重されず「危機的状況」と国連で警鐘
ニューヨーク(ICRC) –赤十字国際委員会(ICRC)のミリアナ・スポリアリッチ総裁は、国連総会でスピーチをおこない、「国際人道法の尊重は危機的状況にある。国際人道法の中心である人間性が保護されずに脅かされている」と警告しました。
総裁は、すべての国連加盟国に対し、国際人道法の遵守を政治的側面から支持する世界的なイニシアチブへの参加を呼びかけました。このイニシアチブは、ICRCがブラジル、中国、フランス、ヨルダン、カザフスタン、南アフリカと共に立ち上げました。
「このイニシアチブは、現在世界が目の当たりにしている状況に対応するため、各国に参加を求めています」。スポリアリッチ総裁はさらに続けます。「今日おこなわれている紛争でまかり通っていることが基準となり、将来の戦争が戦われることになるのです。民間人のためにも、これ以上ハードルを下げるわけにはいきません。私たちは、戦争がルールを持つことの重要性について、各国から表明された支持を歓迎します」。
総裁は、2025年1月、レバノン、シリア、イスラエル、ガザ、そしてヨルダン川西岸を訪問した後に、国連総会でこのように演説しました。「明白な事実を述べましょう。医療施設は瓦礫の山となり、民間人が住む場所は破壊され、罪のない人びとが命を落としました。これは、目の前にはっきりと見えている現実です。日々戦争に翻弄され、復興に何千億ドルもの費用を捻出しなければならない、何百万もの人びとの生活にかかわる問題です」。
この世界的なイニシアチブに世界のすべての国が参加するよう、ICRCは呼びかけています。今後2年間で、国際人道法がより尊重されるよう状況を改善する、具体的な提言を見出すことが目的です。この枠組みの成果は、2026年の国際会議において戦争のルールと人間の尊厳を守る上で重要な役割を果たす共通のコミットメントを再確認することです。
スポリアリッチ総裁の演説の全文はこちら(英語)