2023年 核兵器の全面的廃絶のための国際デー
9月26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」を記念、促進するため、国連総会ハイレベル会合向けに赤十字国際委員会(ICRC)が声明を出しました。
今なお存在する核兵器は、人類にとって最も大きな脅威のひとつです。
その影響は健康や環境、気候、食料安全保障に及び、壮絶で長期的かつ取り返しのつかない規模で私たちの生存そのものを脅かします。今日、核兵器の惨事がもたらすであろう大規模な人道上のニーズに十分に対応できる国家や国際機関は存在しません。
1945年に広島と長崎に原爆が投下され、負傷者や重篤な患者の治療に当たったICRCと日本赤十字社は、その恐怖と苦しみを目の当たりにしました。以来、国際赤十字・赤新月運動(赤十字運動)は、核兵器の禁止と廃絶を訴え続けています。
ICRCは、国際人道法のルールと原則に基づいて核兵器が使用され得るなどということは、到底ありえないと考えます。
さらに、核兵器のいかなる使用も、人道の諸原則と公共の良心に反することになるでしょう。同様に、核兵器を使用するといういかなる脅しも、実際の使用を暗示するものであることから受け入れられるものではない、と私たちは考えます。
核兵器が使用されるリスクは増加しており、とても容認できるものではありません。過去1年半にわたり、核兵器の近代化という懸念と相まって、核兵器使用をほのめかす発言が増加しています。昨今の厳しい国際情勢の中、核兵器禁止条約(TPNW)は、世界の平和と安全を追求する上で希望の光であり、金字塔です。
まさに人類と多国間主義がTPNWを勝ちとった画期的な瞬間から、核兵器禁止が現実味を帯びてきました。しかし、その道のりはまだ長く続いています。現在、世界には1万3千を超える数の核弾頭が存在し、最近の研究によるとその数は増加傾向にあると言います。核兵器禁止への道筋に逆行する形で、依然として軍事ドクトリンと安全保障政策により後押しされています。
世界的な地政学的緊張が高まり、核抑止論が再び活発化しつつある今、これまで以上に多国間協力が重要になっています。今日の核戦争の恐怖に対して、核抑止に代わる最も説得力のあるものがTPNWです。
TPNWは、核兵器不拡散条約(NPT)第6条をはじめとする軍縮における道徳的、倫理的、法的義務を強化することで既存の核軍縮体制を補完するものです。NPTは依然として世界的な核軍縮や核不拡散体制の礎石ですが、その信頼性を保持し続けるために核兵器の全面的廃絶に向けて今こそ前進する必要があります。
今日TPNWを通して、世界の半数の国が核兵器に対して「あり得ない」という意思を表明しています。私たちは、条約に加入していない、または批准に至っていないすべての国に対して遅延なく手続きを進めるよう呼びかけています。
この度、新たにバハマが条約に署名し、スリランカが加盟したことを私たちは歓迎します。
ICRCは、赤十字運動のパートナーと一緒に、核兵器のない世界という共通の目標が達成できるよう、TPNW加盟国を増やしていき、条約の履行を強化するための弛まぬ努力を続けていきます。