教育の現場は徹底して守られるべき
紛争下における教育の保護は、赤十字国際委員会(ICRC)にとって欠かせない活動のひとつです。
国際人道法は、紛争当事者に対して、生徒や教師、そして学校全体への攻撃を慎むよう求めています。
- 子どもたちは民間人です
- 教師も同様です
- 学校は民用物です
非軍事的な性質を持つこれらはみな、敵対行為の最中も守られる権利を有します。
学校保護宣言(※)は、国際人道法によって保障された教育の保護を基盤としています。軍が学校の民間的性質を維持するため、実践的かつ具体的な対策をとり、教育現場の保護を徹底するよう促進するものです。
また、たとえ学校が軍事目的で使用されている場合でも、国際人道法は、民間人や民用物への付随的な被害が最小限になるよう、攻撃を行う前にすべての実行可能な予防措置をとることを武力を行使する者に対して求めています。軍事的利益を上回る、民間人や民用物への過剰な損害が生じる不均衡な攻撃も禁じられています。
ICRCは、教育を保護するためのルールについて、軍や武装集団と対話をしています。そうすることで実際、軍司令官が学校が攻撃の対象から外れるよう、軍事施設を学校から離れた場所に移動してくれました。また、複数の非国家武装集団は、自分たちの支配下にある学校を攻撃から保護するべく指示を出しました。このように、対話によって状況を良くすることが私たちの仕事でもあります。
私たちは、教育の保護を強化するため、今後も軍や武装集団との対話を継続するべく尽力します。同時に、自治体に対しては、リスクの把握と管理、安全な行動の手引き、そして万が一を想定して学校やその周辺、前線付近、または市街戦が展開している中でどう身を守るのかについて、その対策の確立をサポートします。
そして何より、国家に対しては、国際人道法を尊重し、自国の法律や政策、軍事教練に教育の保護をきちんと盛り込んでいくよう求めます。
私たちは、各国に対して、学校保護宣言への支持とガイドラインの実施を呼びかけます。
ICRCはこれまでと同様、学校保護宣言に関する法律上の知識を提供し、特定の状況でどのように実施することが最良なのか、専門的かつ実践的なアドバイスをすべての関係者に提供する準備ができています。
(※) 学校保護宣言は、わずかな数の国によって2015年にまとめられた政治宣言で、現在は、118カ国が支持しています。政治宣言とは、公約であり、法的拘束力はありません。参加国は、紛争下に置かれた生徒や教師、学校や大学を保護します。もちろん、公約するだけでは不十分で、支持した後に実際の行動が伴わないとなりません。