ウクライナ:バフムト近郊に命をつなぐ援助物資が到着

ウクライナ
2023.03.24

🄫ICRC

赤十字国際委員会(ICRC)は、ここ数週間、ロシアとウクライナ間で特に戦闘が激化しているドネツク地域バフムト近郊のKostiantynivkaとChasiv Yarに、待ち望まれていた援助物資を届けました。また、前線に近いSelydoveにも、同様の支援が届けられました。

ICRCの車列がKostiantynivkaやChasiv Yar、Selydoveに近づくにつれ、この地域の破壊の程度が明らかになりました。住宅や病院、学校、インフラは、大きく損壊していました。避難せずに居残っている人々にとって、現地の人道状況は深刻です。絶え間ない戦闘により、生活に必要不可欠なサービスにアクセスすることさえできていません。

ここには多くの高齢者がいて、切実に支援を欲しています。衛生用品は今やとても高価なものとなり、この辺の店には在庫がないので、いくばくかの年金で暮らしている人たちには特に救いの手が必要です。バスも通っていないので、近くの町に行くことすらできません

近隣の村に住むダニールさん(19)

前線に暮らし、戦闘の直接的な被害を受けている民間人のニーズは、高まる一方です。避難できる人のほとんどは、すでに避難しました。Kostiantynivkaの人口の約1割は国内避難民で、近隣の村から一時的に移り住んでいます。Chasiv Yarにはわずか1500人、Selydoveには800人余りしか残っていません。その大半は、高齢者や障がい者など体が不自由な人か、家を離れることを拒む住民、または前線の村から避難してきた人々です。

ICRCは、Kostiantynivkaと近隣の村に、石鹸やシャンプー、歯磨き粉、歯ブラシ、生理用品、髭剃りセットなどの生活必需品が入った衛生キットを1500箱以上配りました。また、住民や避難者のためにソーラーランプ800台と毛布数百枚を届けました。Selydoveには、米やパスタ、缶詰などを含む食料17トンと衛生用品1トンを提供。食料は、このコミュニティーに残っている住民を一カ月賄える量だと地元当局は見積もっています。Chasiv Yarには6000リットルの飲料水を供給。この地域の住民が必要とする水の10日分にあたると当局は見込んでいます。

バフムトや戦闘の前線に位置する他の町から避難してきた人々が、より安全な地域に向かう途中に経由するKostiantynivkaやChasiv Yarには、人道支援の拠点が設けられています。ICRCは昨年9月以来、移動する前線から逃れてきた人々を適切に受け入れることができるよう、こうした拠点に対して食料や衛生用品、給水タンク、暖を取るための資材、発電機を提供しています。

ICRCは、バフムトや前線周辺に位置する近隣コミュニティーの状況に加えて、絶えず軍事攻撃にさらされている民間人の深い苦悩を非常に憂慮しています。Verolybivkaに住むニコライさんは、「本当に困難な状況に置かれています。爆音と恐怖の日々です。昨日は、ロケット弾が私たちの頭上を飛んでいきました。日常は奪われましたが、何とか生き延びています」と語ります。

ICRCは交戦国に対して、国際人道法を尊重するよう訴えます。特に、人道支援が入り込む余地を与え、それぞれの支配下にいる民間人が援助を得られるよう、そして、どこにいようと戦闘に参加していない人は攻撃の標的となることなく保護されるよう求めます。