ICRC総裁がモスクワ入り~人道支援スタッフの保護を含め協議
赤十字国際委員会(ICRC)のミリアナ・スポリアリッチ総裁が、政府高官と非公開で協議するためモスクワに到着しました。
訪問中は、捕虜や行方不明者の安否など、ロシア-ウクライナ間の国際的武力紛争における重要案件について、紛争当事者の国際人道法上の義務を再確認します。
ドネツク地方では先週、物資配付の準備中に砲撃があり、3名の同僚が死亡。私たちはこの件を強く非難しましたが、残念ながらこうした悲劇は過去2年間に世界各地で急増しています。今回のモスクワ訪問でも、紛争当事者による人道支援スタッフの保護について改めて話し合います。
ICRCが世界各地で紛争当事者と対話をする目的は、ジュネーブ諸条約で定められた義務を喚起することで戦争がもたらす苦痛を最小限に抑えること、そして、人道ニーズに対応するうえでのICRCの取り組みを理解してもらうことです。
こうした対話はロシア当局とも継続して行っており、今回はその一環として、ミャンマーやガザ地区、スーダンなどで継続中の紛争がもたらす人道上の影響についても話し合う予定です。
赤十字国際委員会(ICRC)とは―――
「敵味方の区別なく、傷ついた人はすべて救う」という理念のもと、1863年に永世中立国のスイス・ジュネーブで発足。政府、反政府勢力、ゲリラ勢力などすべての紛争当事者と対話し、戦時の決まりごとである国際人道法の守護者として、戦禍の人々に寄り添い、命と尊厳を守る役割を与えられている。その活動は多岐にわたり、生活の自立支援や食料・水・避難所の提供、離散家族の連絡回復・再会支援事業、戦争捕虜や被拘束者の訪問、戦傷外科やトラウマケアなど。現在、1万8千人以上の職員が約100カ国で、「公平・中立・独立」を原則に活動を展開中。