国際赤十字:ウクライナ人道危機対応のため310億円余の資金援助を要請
ジュネーブ(ICRC/連盟)―ウクライナおよび近隣諸国の人道状況が急速に悪化する中、赤十字国際委員会(ICRC)と国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、人道支援を届けるためのアクセスを改善し、活動の規模を迅速に拡大することができなければ、この先数百万の人々が耐え難い苦境に陥るだろうと懸念しています。ICRCと連盟はこのたび、大規模かつ喫緊のニーズに対応するため、総額2億5000万スイスフラン(約313億円)の資金援助を国際社会に呼びかけます。
紛争地で人道支援を展開するICRCは、ウクライナおよび近隣諸国における2022年の活動資金として、1億5000万スイスフラン(約188億円)の援助を要請しています。
ウクライナでの紛争激化による被害は計り知れません。死傷者は増え続け、医療施設の対応も追い付いていません。水や電気の供給は長きにわたって滞ったままです。ウクライナに設けた赤十字緊急ダイヤルに電話をかけてくる人たちは、食料とシェルターを切実に望んでいます。こうした大規模な緊急事態に対応するためには、現場にいる私たちの同僚が、支援を必要としている人たちのもとに安全に駆け付けられるようでなければなりません。
ICRC ロバート・マルディーニ事務局長
ICRCは今後数週間にわたり、離散した家族の再会支援、国内避難民への食料や生活用品の配付、不発弾で汚染された地域について周知するための活動を強化します。また、遺体が尊厳をもって扱われ、家族が死を受け入れてきちんと追悼できるよう支援していきます。
現在必要なのは、水をトラックで配送するなど、緊急の給水活動です。医療施設に対しても支援を強化し、武器による負傷者を治療するための医薬品や医療機器の提供に力を入れます。
一方、世界に192の赤十字社、赤新月社を擁する連盟は、ウクライナでの戦闘激化を受けて1億スイスフラン(約125億円)の援助を要請しています。当面は、各国赤十字社による200万人の人道ニーズへの対応に充てられます。特に、保護者のいない未成年者や子どもを抱えたシングルマザー、高齢者、障がい者など、社会的に弱い立場に置かれた人々への対応に重点的に取り組む予定です。現地主導の人道支援を強化するため、ウクライナや近隣諸国の赤十字社の能力向上に多額の投資も必要となる見込みです。各国赤十字社は、すでに数千人規模の職員やボランティアを動員し、シェルターや生活必需品、医薬品、心のケア、多目的に使える現金の支給など、命を救うための支援を可能な限り多くの人々に提供しています。
とてつもない苦しみの中で、各国がここまで団結してくれていることに胸が熱くなります。紛争の影響を受けている人々のニーズは刻一刻と増しています。たくさんの人が絶望に暮れています。命を救うためには迅速な対応が必要です。各国赤十字・赤新月社はそうした対応ができるよう独自の態勢を整えていて、場所によっては大規模な人道支援を実施できる唯一の組織でもあります。私たちの活動には国際社会のサポートが欠かせません。この紛争によって被害を受けている人たちへの支援を強化するため、私は国際社会の団結を呼びかけます。
国際赤十字・赤新月社連盟 ジャガン・シャパガン事務総長
なお、日本では、「ウクライナ人道危機救援金」として、赤十字パートナーである日本赤十字社が寄付を受け付けています。救援金の一部は、当該地におけるICRCの活動にも充てられる予定です。
2022年3月2日(水)~2022年5月31日(火)まで
詳細はこちら(日本赤十字社ウェブサイト):https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/
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https://jp.icrc.org/activity/ukraine-crisis-statement-florence-gillette-head-icrc-delegation-kyiv/
https://twitter.com/ICRC_jp/status/1498179515725590529?s=20&t=l_S6JYEG4M9irCFJ9tGgtg
https://twitter.com/ICRC_jp/status/1497141823072096257?s=20&t=sPakDzX9CPCUpJKZgftWxA
https://jp.icrc.org/information/icrc-appeals-operations-2022/