紛争の激化・拡大で、住民の苦悩と恐怖はピークに/ICRC駐ウクライナ代表の声明

ウクライナ
2022.02.28

©ICRC

キーウ(ICRC)―首都キーウなどの大都市をはじめ人口密集地における紛争被害を、私たちは非常に憂慮しています。自分たちの住む地域が紛争の最前線となった場合、子どもや病人、高齢者など、住民は計り知れない被害を受けることになります。世界中の紛争地で人道支援を行う赤十字国際委員会(ICRC)は、これまでそうした場面を幾度となく見てきました。

紛争当事者に向けた私たちの緊急の訴えは、国際人道法上の義務を忘れないでください、ということです。民間人だけでなく、被拘束者や傷病兵など既に戦闘行為から離脱している人々も守られなければなりません。人道法に明記されているように、すべての紛争当事者は、軍事作戦を計画・実施する際、民間人と民用物を守る法的義務があるのです。

民間人の死傷者を出さないために、実行可能なすべての予防措置を講じなければなりません。無差別攻撃は禁止されていることから、ICRCは紛争当事者に対し、人口密集地で広範囲に影響を及ぼす爆発性兵器の使用を避けること、また、そうした地域やその近辺に軍事目標を置かないことを強く求めます。

緊張は高まる一方で、市街地での武器使用が増えています。そうした状況を踏まえて、住民がさらなる危険にさらされないよう、法と秩序を維持するための措置を取り続けることが重要になってきます。

水や電力、医療の提供など必要不可欠な公共事業が中断すると、被害はドミノ現象のごとく広がります。私たちは、広範囲に影響を及ぼす爆発性兵器がたくさんの命を奪い、大規模な損害や破壊をもたらすのを何度も目にしてきました。

そして、破壊力を保ったまま放置される不発弾も、住民の命を脅かす負の遺産です。着弾時に爆発しなくても、多くの場合、地中や瓦礫の中に埋もれたまま息をひそめ、戦闘が終わった後も長きにわたり人々を危険にさらします。

8年にわたる熾烈な紛争を経験した人々が何より望んでいないのは、これ以上の暴力や死、破壊、絶望です。紛争が激化することで、民間人の犠牲や被害に支援や保護の能力が追いつかなくなるような事態は避けなければなりません。そのためにも、すべての国家に対して、権力や影響力を最大限発揮するよう求めます。