グアンタナモ収容所の訪問開始から20年―釈放すべき被拘束者の送還を要請
赤十字国際委員会(ICRC)は、これまで20年にわたり、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に被拘束者を訪ねました。アメリカ政府に対しては現在、釈放するに値する被拘束者すべてを、身の安全と社会復帰の機会を顧慮した上で、遅滞なく速やかに母国へ送還するよう訴えています。
ワシントンDC(ICRC)―ICRCは、先の見通しもつかないまま人々がグアンタナモ収容所に長年拘束されている事態を非常に憂慮しています。10年以上前に釈放に値するとみなされているにもかかわらず、現在も同所に留め置かれている人も見受けられます。
アメリカとカナダを管轄するICRC代表部のトリック・ハミルトン首席代表は、次のように話します。「アメリカ政府は、釈放に値するとみなされた被拘束者を、今日にも送還すべきです。私たちは20年間、100回以上収容所を訪問してきました。だからこそ、時間が経てば経つほど、被拘束者とその家族の苦しみが増していくのがわかります。私たちが求めている送還が、人道上正しい措置であることは明らかです。長い間送還を先延ばしにされてきた人にとってはなおさらです」。
ICRCは中立かつ独立した人道支援組織で、1949年のジュネーブ諸条約のもと、被拘束者や捕虜を訪問し、拘束状況や処遇を調査・評価する権限を与えられています。現在、世界の90以上の国や地域でそうした活動を実施しています。また、被拘束者の尊厳が尊重され、心身ともに良好な状態が保てるよう、拘束状況を法律や国際基準に照らし合わせたうえで、懸念事項や勧告を守秘義務に則って収容施設の職員や政府当局と共有します。
ICRCは、2002年1月18日に初めて、グアンタナモ収容所に拘束されている人々を訪ねました。私たちとの面会を希望する人には一対一で会い、本人の同意を得た上で、同所を管轄するアメリカの当局に懸念事項を伝えます。また、人道支援の中核事業の一つとして、手紙や電話、オンライン会議システムを利用して、被拘束者とその家族の通信を可能にしています。
私たちは、収容施設を管轄する政府当局との継続的な対話を通して、高齢の被拘束者のケアなどさまざまな問題に今後も真摯に取り組んでいきます。また、家族との面会や通信にも引き続き力を注いでいきます。グアンタナモ収容所をめぐっては、これまでアメリカ政府と建設的かつ包括的な対話を進展させるべく努めてきました。こうした関係の維持が今後も重要だと私たちは考えています。