メキシコ巡回展:行方不明者との再会、叶わなかった切望を未来へ紡ぐ
赤十字国際委員会(ICRC)は、メキシコで巡回展「記憶を紡ぐ:捜索をやめなかった人びとの遺産」を開催しました。
メキシコなど中米では、多くの残された家族が行方不明になった家族との再会を待ち焦がれながら、この世を去っています。本展示会は、残された家族の「会いたいという切望」と「会えないという苦痛」を同時に抱える家族に寄り添い、今後も粘り強く捜索する必要性を訴えています。
「愛する人びとが行方不明になったとき、彼らの行方がわからないという苦悩を抱えたままに、この世を去らなければならない人びとなど誰ひとりいないはずです。この展示会は、行方不明者を待ち続けて亡くなった家族に敬意を表すものです。」
ICRCメキシコ・中米地域代表部代表オリビエ・デュボア
デュボアは、本展示会が観覧者に「行方不明者の捜索意欲」を掻き立てることを期待しています。捜索活動は、行方不明者の家族の死後、やがて家族や友人へと引き継がれ、後世の人びとに向けられた遺産となっていきます。これは時間のかかることであり、忍耐を要することです。
行方不明者の捜査責任は政府当局にあります。当局は、家族に寄り添った効果的な捜査を行い、さらに行方不明者に関する情報を家族に伝達することで、家族の苦しみを軽減することに努める義務があるのです。また、捜査に係る手続きが適切に実施されていることを保証し、行方不明者の捜査中に残された家族が死亡した場合でも、引き続き捜査をしなければなりません。
残された家族の主な死因は、高齢、未治療の病気、暴力が多くを占めているのが現状です。ICRC行方不明者プログラムのコーディネーターのジャネット・カルモナは、家族の身体的・精神的健康への影響を深刻であり、包括的な対応の必要性を訴えています。残された家族は、捜索活動に参加する権利のみならず、医療・心理やセキュリティに関する即時の救済・支援・ケアにアクセスする権利を持っているのです。
本展示会の目的は、行方不明者に関する歴史を伝え、捜索を決して諦めなかった家族の教訓を永続させることにあります。
この展覧会は、芸術・文化・クリエイティブ産業を専門とするメキシコのコンサルタント会社「Aura」とのパートナーシップで、2024年7月にホンジュラスで初開催されました。同年8月9日から9月10日にかけて、メキシコシティに位置するメトロポリタン自治大学(UAM)で展示されます。 さらに、ワークショップ、講演、刺繍セッションをはじめとする一般向けのアクティビティプログラムも展開されるほか、行方不明者の家族やICRCの専門家等が参加し、このテーマに関するさまざまな視点を提示されます 。