人道支援要員の尊重と保護を改めて要請:国連安保理決議第2730号
赤十字国際委員会(ICRC)は、武力紛争の当事者が人道支援要員とその施設や資産を尊重し保護する義務を持つことを喚起した、国連安全保障理事会決議2730号の採択を歓迎します。これは、紛争当事者の義務であるのみならず、国際人道法を遵守するすべての国家の共同責任です。
人道支援に携わる人びとは、言語による脅迫や恫喝に加えて、行方不明になったり死傷したりするリスクに日々さらされています。
このような脅威を生み出す原因として以下があげられます。
- 支援をおこなう際の人道スペースとアクセスが制限されていること
- 紛争当事者が国際人道法に基づく義務を遵守しないこと
- 現場が安全でなくなり複雑化していること
戦場やその付近で活動する人道支援要員を効果的に保護するために、武力紛争における区別・均衡性・予防の原則を実戦にきちんと適用する必要があります。
人道支援に携わる人びとの安全を脅かす事件が発生すれば、紛争のさなかに現場にとどまり活動する能力が低下し、人道支援と保護を提供する機会も減少します。その結果として、支援を切望する民間人が最も苦しむことになるのです。
赤十字・赤新月社のボランティアやICRC職員は、紛争の現場で真っ先に対応するケースが多く、人間の生命と尊厳を守るために高い代償を払っています。すべての人道支援に携わる人びとに敬意を表するべく、私たちICRCも国連安保理とともにいます。
ICRC総裁 ミリアナ・スポリアリッチ
また、同決議は、サイバー脅威に人道支援団体がさらされる危険性が高まっていることや、不発弾が人道支援に携わる人びとに及ぼす危険性についても言及。これらが、特に国内や現地で採用されたスタッフに大きな犠牲をもたらしていることを強調しています。
人道支援要員が容認できないほど高い代償を払うような事態を止めなければなりません。それを実現させるには、この決議第2730号が実践の場で精力的に適用されることしかありません。