パナマ:ジオアズールおよびエコソリードス事業を通してごみ減量の4Rを推進
パナマのラ・ジョイタ刑務所には、4,000人以上の受刑者が収容されています。6年前、この刑務所の床はゴミだらけでした。そのような環境で暮らすことに嫌気がさした囚人たちは、農学者でリサイクルの専門家でもあるフランクリン・アヨンの協力の下、ゴミのリサイクル事業を立ち上げました。そして生まれたのが、囚人が運営するゴミを有効利用するためのプログラム「エコソリードス(EcoSólidos)」です。
現在、刑務所から出るゴミのおよそ9割が、リサイクルされています。プラスチックやアルミ製品は、圧縮・分別して保管され、販売されます。生ゴミは、有機肥料にして刑務所の庭にまかれ、囚人たちが食べるための新鮮な野菜や果物を育てます。
『問題をチャンスに変える』という目標設定の下、エコソリードスは刑務所の独房棟で生まれました。私たちのモットーは4R、すなわちReduce『リデュース』、Reuse『リユース』、Recycle『リサイクル』、そして私たちが独自に加えたRefuse「リフューズ」の頭文字からとった、4つのRです。
フランクリン・アヨン
出所した囚人は、特に、再び仕事を得る上で、多くの困難に直面します。そこで誕生したのが、アヨンさんのジオアズール(GeoAzul)というNPO団体です。同団体は、元受刑者の社会復帰を支援する、ラ・ジョイタ刑務所の「エコソリードス再社会化事業」を支援しています。パナマシティーの都市ゴミの収集と処理を専門に行う団体として、毎日平均10トン超の廃棄物を処理。およそ360人の受刑者を雇用し、環境にやさしい仕事を通じて社会復帰させることに成功しています。
またジオアズールは、エコソリードスの成功を足掛かりに、リサイクル事業の拡大を検討しています。同団体の目指すところは、出所した囚人や保護観察中で最初の仕事を探している囚人の指標となることです。
さらにジオアズールは、元受刑者が持っているスキルを発揮し、効果的に社会復帰できるようにすることを目的として、元受刑者を責任を持って受け入れています。これまでに、受刑者およそ800人を雇用し、その家族を中心におよそ3,000人に間接的に恩恵をもたらしています。雇用と社会復帰の機会を提供し、環境にやさしい方法で人々の生活を改善するリーダー的存在になることも、同団体の目標です。
赤十字国際委員会(ICRC)は、パナマの刑務所当局に、囚人の生活環境や衛生状態、施設の維持・建設、リサイクル工場の能力向上、およびさらに多くの労働者を支援する方法について指導を行っています。また、工具や手袋、長靴、バッグなど、事業を継続するための物資も提供しています。