ウクライナ:ニーズが急増する中、緊急かつ大規模な対応を

ウクライナ
2022.03.14

©ICRC

ウクライナの人道状況が悲惨さと深刻さを増す中、ICRCは大規模な人道ニーズに対応すべく、活動に拍車をかけています。

わずか2週間で、住宅は瓦礫と化しました。多くの家族が戦闘から逃れるために長時間にわたって地下に身を寄せています。数十万もの人々が、食料や水、暖房、電気、医療を欠いています。200万人が近隣諸国に避難したとの報告がありますが、足止めされたまま安全な避難ルートを必死に探し求めている人も数え切れないほどいます。

赤十字国際委員会(ICRC)は、2014年以来8年にわたりウクライナで活動し、紛争下で暮らす人々を支援し続けてきました。

「ICRCのスタッフは、首都キーウ(キエフ)をはじめ、南部オデッサ、東部マリウポリ、ドネツク、ルハンスク、その他多くの場所に、医療品や食料、水、衛生用品を届けています。しかし、急増するニーズに対応するためには、さらに多くのことをしなければならないのは明らかです。そのため、私たちはウクライナや近隣諸国に追加のスタッフや物資を送り込み、今回の紛争で苦しんでいる人々を支援しています」と、ICRCの欧州・中央アジア事業局長のマーチン・シェップは語ります。

3月7日の週に、医療スタッフや武器汚染の専門家をはじめとした緊急支援要員を増員、ウクライナに到着しました。ICRCは、現地での活動の規模を大幅に拡大すると同時に、周辺地域で国際赤十字・赤新月運動のパートナーと連携して活動に当たるために、ハンガリーやモルドバ、ポーランド、ルーマニア、ロシアにもスタッフを派遣しました。ICRCはまた、サプライチェーンが寸断されたウクライナに救援物資をより効率的に送るため、近隣諸国に物流ハブを設置しています。

現地での支援の強化に加えて、私たちはすべての当事者と持続的に、かつ二者間で、守秘義務に則って対話を続けています。戦闘行為や民間人の保護にまつわる国際人道法上の義務を再認識してもらうためです。

2022年2月22日から3月8日にかけて、ICRCはウクライナ赤十字社(URCS)と連携して、以下の活動を実施しました。

医療

  • マリウポリにある集中治療のための地域病院と小児病院に医療品を配付。
  • マリウポリの複数の避難民センターで医療支援を実施。
  • 国境なき医師団とICRC、ウクライナ赤十字社が共同で、キーウの3つの主要な病院に手術器具を提供。
  • オデッサに6,500人分×半年分に相当する2.5トンのインスリンを、また南東部ドニプロペトロフスクに9,000人分×3カ月分のインスリンを供給。
  • キーウやルハンスク州セベロドネツク、ドネツク州スラビャンスクで、地下や避難所に身を寄せている子どもや大人に対し、こころのケアを提供。
  • ウクライナ赤十字社や医療当局が使用するために、160個以上の救急キットを配付。
  • 食料や水などの救援物資

  • マリウポリの避難所に身を寄せる4,000人に対して、食料や水、衛生用品を配付。
  • ドネツク州ゴルロフカに、食料品一式と衛生用品500セットに加え、医薬品、避難用具を提供。
  • ドネツク市に飲料水7,000リットルを提供。
  • ウクライナ赤十字社が、首都キーウに位置するクレニフカやオボロン、ポジールの各地区に750個の支援小包を届けられるよう、燃料を提供。
  • ルハンスク州に位置するシャスティア、トロキズベンカ、ノボアイダーの各地域の住民に食料を配付。
  • ドネツク周辺の住民や医療施設に38,000リットル分のボトルウォーターを配付。
  • ドネツク州キロフスクの当局に、住民に配付するための2.5トンの水と50枚の防水シートを提供。
  • ドネツク周辺の9つの村で、国内避難民に食料や避難用具を配付。
  • ドネツクの水道施設修繕に携わるスタッフに用具を提供。
  • ドネツクの住民に飲料水や燃料、防水シートを配付。
  • ルハンスク州Vrubivkaにて、ルハンスクガス社のガスパイプラインの修繕を支援。
  • ドネツク州クラマトルスクにあるウクライナ赤十字社の支部に約28,000スイスフラン(約350万円)の現金を支給。
  • 毛布やマットレス、燃料缶をセベロドネツクの3つの避難所に提供。
  • ルハンスク市にあるウクライナ赤十字社の拠点に66,000ドル(約770万円)を現金で支援。
  • ドネツク州ノボゾフスク周辺地域に留まる国内避難民に毛布や枕、マットレスを提供。
  • ルハンスクで、200枚の防水シートやビニールシートを提供。
  • ドネツク州Vodadonbassa Pokrovskに、浄水用の過マンガン酸カリウム4,900キログラムを寄贈。
  • ドネツク州Sviatohyrskで活動する援助団体に7,000人分の支援物資を寄贈。
  • 武器汚染にまつわる取り組み

  • 新たに派遣されたICRCの武器汚染専門員らが、各コミュニティーにおいて不発弾の除去作業を支援する予定。
  • ウクライナ赤十字社に、危険な不発弾汚染地域を示す標識500枚を寄贈。
  • 赤十字のボランティアなどを対象とした「危険認識と安全行動」に関する緊急説明会を複数回実施。危険認識と安全行動を促すための資料や、身の安全を守るための資料を印刷して提供。
  • ICRCとウクライナ赤十字社が共同で、リスク認識と安全行動にまつわるキャンペーンを計画中。
  • 中央追跡調査局

  • 中央追跡調査局は活動規模を拡大し、紛争当事者に対して、生死を問わずすべての捕虜に関する必要な情報の提供を求めている。通信回線を確立し次第、紛争当事者や家族とを仲立ちし、敵側にとらわれた捕虜や死傷者に関する情報のやり取りを行う予定。
  • ウクライナ赤十字社をはじめ、各国の赤十字社、赤新月社は、ウクライナにいる親族についての情報を家族が受け取れるよう、家族の再会・連絡回復支援を実施中。
  • 死者の尊厳ある管理に携わる団体に援助物資の提供を含め、支援を実施中。